2002 Fiscal Year Annual Research Report
HCV NS5A蛋白機能制御をtargetとしたC型肝炎治療の研究
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12557053
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental Uniersity |
Principal Investigator |
榎本 信幸 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (20251530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 雅之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10280976)
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Keywords | HCV / replicon / interferon / 慢性肝炎 / リン酸化 / 肝癌 / NS5A / ISDR |
Research Abstract |
本研究において、Chimpanzee infectious cloneであるHC-J4 cloneを用いて独自にHCV replicon系を構築、このrepliconの増殖にはNS5A蛋白のlSDR上流のserine cluster領域の変異が必須であり、さらにlSDR変異はHCV repliconの増殖を促進した。この領域のserine残基はNS5A蛋白のリン酸化に関与すると考えられており、NS5Aがそのリン酸化状態に応じてHCV replicon増殖を制御していると考えられた。HCV replicon増殖を促進するNS5A serine cluster変異は、生体内ではHCV増殖を著明に抑制する変異であり、またJSDR変異はreplicon増殖には促進的に働くが、生体内でのHCV量はISDR変異により著明に減少する。このように、NS5A-ISDRの役割は、repliconと生体において逆でありこれは、増殖細胞が培養肝癌細胞と正常ヒト肝細胞と全く異なっており、宿主細胞側の増殖制御因子の相違によるものと想定された。したがって、HCV replicon増殖制御においてNS5A蛋白に関連する宿主因子を明らかとすることが、生体内におけるHCV増殖制御の解明の鍵を握るものと想定される。我々は、HCV replicon増殖をmarkerとしたretrovirus library screening法を開発し、HCV増殖制御分子を探索中である。またhight through putのreplicon増殖assay systemを開発し、NS5A蛋白機能制御によるHCV増殖変化を迅速に検出する系も確立した。これにより、すでにある種の薬剤および分子において、これまでに知られていない新たなNS5AおよびHCV増殖制御作用を見いだしている。今後はこれらの系を用いて、より効率的なHCV制御法開発を進める予定である。
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