2002 Fiscal Year Annual Research Report
レニン活性を持つ腎特異的新規プロテアーゼに関する病態生理学的研究と拮抗薬の開発
Project/Area Number |
12557085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 圓裕 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00223305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 優 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20222101)
中馬 達二 日本たばこ産業株式会社, 医薬探索研究所, 所長(研究職)
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Keywords | 遺伝子発現情報 / レニン / アンギオテンシン / 新規プロテアーゼ |
Research Abstract |
腎近位尿細管に特異的なレニン類似プロテアーゼGS4001をクローニングした。同遺伝子産物がアンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンIに分解するレニン活性を同定し、レニン活性を持つ新規腎特異的プロテアーゼ遺伝子ノックアウトマウスを作成した。 ・GS4001プロテアーゼ遺伝子がコードする蛋白精製と生化学的検討:前年度までに精製された本プロテアーゼ蛋白を用いて検討した。該マウス遺伝子産物はアンギオテンシンに加え、IV型コラーゲンを分解する活性があることが確認されたがI型コラーゲンは分解しなかった。同時にヒトGS4001遺伝子をクローニングしアミノ酸レベルでレニンとの相同性が42.4%とヒトにおいてもAspプロテアーゼファミリーであることが確認された。His-trap chelating法によりヒトGS4001遺伝子産物を精製し酵素活性を検討した。結果、ヒト該遺伝子産物はアンギオテンシンを分解しない事が明らかとなった。 ・マウスGS4001遺伝子産物はヒトIV型コラーゲン、Fibronectin、アルブミンおよびLaminin分解活性があることが確認された。基質タンパク質切断アミノ配列を決定した。それぞれ、TINL↓PGRP, VSVI↓AQNP, VTEF↓AKTCであった。以上の結果から該遺伝子産物はMMP-2やCathepsin Dとは異なる切断部位を持つプロテアーゼ活性を示すことが明らかとなった。 ・実験腎疾患モデルにおける遺伝子発現検討:蛋白負荷蛋白尿モデル腎臓においてGS4001遺伝子発現が蛋白負荷後、経時的に減少する事が確認された。一側尿管結紮モデルにおいて3週以内に本遺伝子発現が減少した。ラットPAN腎症モデル:PAN投与9週間後、該遺伝子発現は有為に減少した。一方、ラットGBM腎炎モデルおよびラットAngII infusionモデルにおいては発現量に有為な変化を認めなかった。 ・GS4001遺伝子ノックアウトマウス(KOマウス)の解析:本遺伝子KOマウスの作成を行った。KOマウスは腎臓が発生するまでに胎生致死となった。原因は種々の検討によっても不明であった。 ・ヒト腎疾患における同遺伝子発現の検討:日本たばこ産業(株)の持つヒト腎生検組織mRNA(米国との共同研究)より本遺伝子の発現パターンを検討した。結果、本邦でも最も多いIgA腎症における遺伝子発現が低下する事が確認された。
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[Publications] Nakajima H, Takenaka M, Kaimori JY, Nagasawa Y, Kosugi A, Kawamoto S, Imai E, Hori M, Okubo K: "Gene expression profile of renal proximal tubules regulated by proteinuria"Kidney International. 61. 1577-1587 (2002)
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[Publications] Kaimori JY, Takenaka M, Nagasawa Y, Nakajima H, Izumi M, Akagi Y, Imai E, Hori M: "Quantitative analyses of osteopontin mRNA expression in human proximal tubules isolated from renal biopsy tissue sections of minimal change nephrotic syndrome and IgA glomerulonephropathy patients"Am J Kidney Dis. 39・5. 948-957 (2000)
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[Publications] Nakamura H, Isaka Y, Tsujie M, Rupprecht HD, Akagi Y, Ueda N, Imai E, Hori M: "Introduction of DNA enzyme for Egr-1 into tubulointersutitial fibroblasts by electroporation reduced interstitial α-smooth muscle actin expression and fibrosis in unilateral obstruction (UUO) rats"Gene Therapy. 9. 405-502 (2002)