2000 Fiscal Year Annual Research Report
非観血的ベータセルリン遺伝子導入によるβ細胞再生促進療法の確立
Project/Area Number |
12557089
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮川 潤一郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00127721)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 彰久 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
山縣 和也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70324770)
山本 浩司 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (60304060)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部, 助教授 (60202272)
森脇 信 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
|
Keywords | β細胞 / 糖尿病 / 再生 / 分化 / ベータセルリン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究は、1型および一部の2型糖尿病において、インスリン分泌細胞である膵β細胞の枯渇ないし疲弊した患者群に対して、インスリン分泌細胞であるβ細胞の分化・新生を誘導し同細胞を増加させる(β cell massを増加させる)ことにより、インスリン治療からの解放ないしインスリン必要量を減少させる、新たな糖尿病治療法の開発をめざしたものてある。1型糖尿病患者膵生検組織およびマウスにおけるβ細胞め枯渇した糖尿病膵組織においては、主に膵導管細胞が内分泌前駆細胞となりβ細胞新生機転が惹起されるが、マウスにおける組織形態学的分析によると、その際、新たにβ細胞の分化に重要な転写因子群(PDX-1,Islet1,Nkx6.1,Pax6など)の発現がみられ、胎生期の膵内分泌細胞の発生過程に類似した現象が起こることが明らかとなった(投稿中)。そこで、β細胞分化誘導因子と考えられるベータセルリンの膵導管特異的な遺伝子導入法の開発を試みた。本法によりβ cell massの増加が可能であれば、非観血的な内視鏡的経膵管遺伝子導入法による非侵襲的遺伝子治療が糖尿病に対して可能となる。まず、正常マウスにおいて、アデノウイルス発現ベクター(LacZ組み込み体)を用いて、経膵管的な導管細胞への遺伝子導入を行ったが、ベクターを含む注入液の組成、注入量および注入速度の工夫により、膵炎等を惹起することなく長期生存が可能で、導管細胞を中心とする遺伝子導入が可能であることが判明し、さらに、ベータセルリン組み込み体の効果を検討中である。β細胞分化・新生促進効果によりβ cell massが増加し、糖尿病マウスの耐糖能改善が確認された場合、大動物を用いて同法によるβ細胞分化・新生促進療法の可能性を検討し、糖尿病に対する新たな遺伝子治療法を確立する。
|
-
[Publications] Yamamoto K.,Miyagawa J.,Waguri M., et al.: "Recombinant human betacellulin promotes neogenesis of β-cells and ameliorates glucose intolerance in mice with diabetes induced by selective alloxan perfusion"Diabetes. 49. 2021-2027 (2000)
-
[Publications] Imagawa A.,Hanafusa T.,Miyagawa J., et al: "A proposal of three distinct subtypes of type 1 diabetes mellitus based on clinical and pathological evidence."Ann Med. 32. 527-531 (2000)
-
[Publications] 宮川潤一郎: "膵β細胞の再生能"Medical Practice. 17・1. 106-107 (2000)
-
[Publications] 今川彰久,森脇信,花房俊昭,宮川潤一郎: "1型糖尿病膵の細胞生物学と病態"細胞. 32・12. 448-451 (2000)
-
[Publications] 宮川潤一郎,山本浩司: "膵β細胞の再生促進療法"Molecular Medicine. 38・1. 62-67 (2001)
-
[Publications] 宮川潤一郎,森脇信,山本浩司 他: "膵β細胞分化・新生機構と遺伝子治療の可能性"今日の移植. 13・5(in press). (2001)