2001 Fiscal Year Annual Research Report
多因子疾患における機能ゲノム学の構築:糖尿病をモデルケースとして
Project/Area Number |
12557094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池上 博司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20221062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 純一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10200156)
藤澤 智巳 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10324766)
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Keywords | 多因子疾患 / 遺伝 / 糖尿病 |
Research Abstract |
多因子疾患は複数の遺伝子と環境因子の相互作用により疾患の発症が規定されることから、従来用いられてきた単一遺伝子疾患のための遺伝解析法では遺伝子の同定・単離・機能解析は困難なのが現状である。本研究では、近交系モデル動物を用いることにより遺伝的背景や疾患を均一にするとともに、そのコンソミック系統・コンジェニック系統を作出することにより多因子を単一因子に機能分割することにより、多因子疾患の原因遺伝子の同定・単離・機能解析を進めるとともに、ヒトのカウンターパートの解析を進めた。糖尿病を多因子疾患のモデルケースとし、対象として2型糖尿病の優れたモデル動物NSYマウスを用いた。 NSYマウスの表現型の詳細な解析にもとづき、ゲノムスキャンにより同定した耐糖能に強く影響する2つの遺伝子座(Nidd1n, Nidd2n)の存在する第11染色体、第14染色体をそれぞれ単独で有するコンソミックマウス(C3H.NSY-chr11, C3H.NSY-chr14)を確立した。C3H.NSY-chr11はインスリン分泌低下およびインスリン抵抗性を示し、空腹時・負荷後血糖値がいずれも有意に高値を示した。C3H.NSY-chr14はインスリン抵抗性を示すが、インスリン分泌には変化を認めず、耐糖能も正常であった。いずれのコンソミックも親系統のNSYに認められるような肥満・内臓脂肪蓄積・レプチン抵抗性は示さなかった。以上の結果より、(1)2型糖尿病に認められるインスリン分泌不全、インスリン抵抗性、肥満などは異なる染色体上に存在する個別の遺伝子により支配されていること、(2)Nidd1はインスリン分泌不全・抵抗性の両者を介して耐糖能に強く影響すること、(3)Nidd2は肥満とは独立してインスリン抵抗性をきたすこと、(4)Nidd2によるインスリン抵抗性はそれ単独では耐糖能は変化しないこと、が明らかとなり、多因子疾患の複雑な遺伝支配の機能分割による解明が大きく前進した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawabata Y, Ikegami H et al.: "Asian-specific HLA haplotypes reveal heterogeneity of the contribution Of HLA-DR and -DQ haplotypes to susceptibility to type 1 diabetes"Diabetes. 51. 545-551 (2002)
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[Publications] Hamada Y, Ikegami H et al.: "Insulin secretion to glucose as well as nonglucose stimuli is impaired in Spontaneously diabetic Nagoya-Shibata-Yasuda mice"Metabolism. 50. 1282-1285 (2001)
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[Publications] Nishino M, Ikegami H et al.: "Polymorphism in gene for islet autoantigen, IA-2, and type 1 diabetes in Japanese subjects"Human Immunology. 62. 518-522 (2001)
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[Publications] Ueda H, Ikegami H et al.: "Mapping and promoter sequencing of HNF-1b gene in diabetes-prone and -resistant mice"Diabetes Research and Clinical Practice. 53. 67-71 (2001)
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[Publications] Babaya N, Ikegami H et al.: "Lack of association between hapatocyte nuclear factor-1b gene and common forms of type 2 diabetes in the Japanese population"Diabetes Nutrition and Metabolism. 14. 220-224 (2001)
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[Publications] Yamada K, Ikegami H et al.: "Sequence analysis of candidate genes for common susceptibility to type 1 and type 2 diabetes in mice"Endocrine Journal. 48. 241-247 (2001)