2000 Fiscal Year Annual Research Report
外科侵襲時の好中球機能の細胞内シグナル伝達機構の解明とその修飾による治療法開発
Project/Area Number |
12557098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 英昭 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30134555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 信 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50185568)
上寺 祐之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80191914)
鎮西 美栄子 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30165097)
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Keywords | 好中球 / 低栄養 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外科侵襲時の好中球機能の細胞内シグナル伝達機構を解明し、さらに生体防御能増強、炎症遷延化防止、臓器障害発生抑制をめざした滲出好中球の機能修飾に焦点をあてた対策を開発することにある。 外科侵襲の炎症反応を惹起する炎症性サイトカイン産生には、チロシンキナーゼ(TK)の活性化によるシグナル伝達が必要である。E.coli腹腔内投与モデルでのTK阻害は過剰な炎症反応を抑え、生存率を改善するとの報告がある。しかし、TK阻害が免疫能を低下させ、生体に不利に働く可能性もある。そこで本研究では、より臨床に近い盲腸結紮穿刺(CLP)腹膜炎モデルにおいて、TK阻害剤がマウスの生存に与える影響を調べた。 本年度は、TKの活性化による細胞内シグナル伝達に着目して、以下の検討を行った。 1)マウスCLP腹膜炎モデルでのTK阻害剤の腹腔内への後投与の生存への影響を検討した。 2)マウスグリコーゲン腹膜炎モデルでの腹腔滲出細胞のfMLP刺激によるTK活性化を検討した。 その結果、 1)マウスCLP腹膜炎モデルではTK阻害剤の腹腔内への後投与で生存が悪化した。 2)マウスグリコーゲン腹膜炎モデルでの腹腔滲出細胞ではfMLP刺激によるTK,MAPKのリン酸化が高まっていた。 すなわち、CLP腹膜炎モデルでは、TKの活性化は生体防御に重要であると考えられた。 細胞内シグナル伝達機構への介入は滲出好中球の機能変化を修飾する。外科浸襲での感染症や炎症の増悪、遷延化の防止、臓器障害発症の抑制に役立つ治療方法の開発のために、最適な細胞内シグナル伝達機構への介入を検討する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 池田重雄,韓一秀,秀村晃生,名川弘一,齋藤英昭: "低栄養の局所生体反応への影響-好中球滲出と滲出好中球機能の検討を中心に"静脈経腸栄養. 15(1). 46 (2000)
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[Publications] 池田重雄,齋藤英昭,松田剛明,秀村晃生,北山丈二,名川弘一: "低栄養による局所生体反応への影響-好中球滲出と滲出好中球機能,局所サイトカインの検討を中心に"日本外科学会雑誌. 101(臨時増刊). 623 (2000)
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[Publications] 池田重雄,深柄和彦,齋藤英昭,松田剛明,秀村晃生,名川弘一: "低栄養の侵襲局所生体反応への影響-局所のサイトカイン産生能と好中球滲出及びその機能の検討を中心に-"日本消化器外科学会雑誌. 33(7). 920 (2000)
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[Publications] 深柄和彦,秀村晃生,齋藤英昭: "好中球機能と外科感染症"Surgery Frontier. 7(4). 376-380 (2000)
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[Publications] 松田剛明,齋藤英昭,深柄和彦,秀村晃生: "性差と外科感染症"Surgery Frontier. 7(4). 394-396 (2000)