2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12557102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 巌 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 近 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30270804)
福島 浩平 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20271900)
舟山 裕士 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (50192315)
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Keywords | ileojejunal transposition / 大腸全摘 / 下痢 / 胃排出 / peptide YY / hypersensitivity |
Research Abstract |
ileo-jejunal transposition (IJT)の消化管運動に及ぼす影響、大腸全摘後の難治性下痢治療応用の可能性、について検討した。イヌの実験では、対照群、IJT(全空回腸の1/4の長さの遠位回腸を近位空腸に順蠕動性に間置)+結腸全摘群、sham群(結腸全摘+消化管切離再吻合)、の3群を作製した。絶対重量法と呼ばれる方法で固形、液体の胃排出を測定し、同時に採血を行って回腸から分泌されるpeptide YY(PYY)の血中濃度の測定を行った。その結果、液体の胃排出は3群間で差がなかったが、固形の排出はIJT+結腸全摘群で他の2群に比べて遅延していた。また、PYYの血中濃度もIJT+結腸全摘群で他の2群に比べてより上昇していた。したがって、IJTによって他の2群よりも上昇した血中PYYが胃運動、胃排出を抑制しているメカニズムが考えられた。実際の便中水分含有量、便の性状、についてIJT+結腸全摘群とsham群で比較した。IJT+結腸全摘群で便中水分量は有意に少なく、便の性状としても固まりやすい傾向にあることが明かとなった。一方、ラットを用いた実験では、対照群、IJT群、sham群の3群を作製した。IJT群では長さ約15cmの遠位回腸を近位空腸に間置し、術後17-20週目にと殺し、間置していた回腸のセグメントを取り出し、縦走筋標本を作製し、tissue chamber内でisometric tensionを測定した。その結果、何も刺激を行わない基礎状態でIJT群の自発収縮が対照群に比べて有意に低下し、コリン作動薬であるベサネコールに対する感受性がIJT群で他の2群に比べて亢進しているhypersensitivityの状態にあることが判明した。また、アドレナリン作動薬であるノルエピネフリンに対する感受性と電気刺激による収縮抑制は3群間で差がないことも明かとなった。これらの結果は、IJTの回腸平滑筋収縮に対する効果と言う基礎的事実を明かにすると共に、実際の結腸全摘後の下痢を改善する可能性を示した点で意義深い。
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[Publications] Ueno T, Shibata C, Naito H, Jin XL, Funayama Y, Fukushima K, Sasaki I: "Ileojejunal transposition delays gastric emptying and decreases fecal water content in dogs with total colectomy"Dis Colon Rectum. 45(1). 109-118 (2002)