2001 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロサテライト不安定性大腸癌の変異ペプチドを利用した診断法と免疫療法の開発
Project/Area Number |
12557109
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
鈴木 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
岩井 武尚 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (90111591)
北島 政樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90112672)
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Keywords | マイクロサテライト不安定性 / 大腸癌 / 腫瘍抗原 / CDX2 / フレイムシフト / 抗体 / T細胞 / 免疫療法 |
Research Abstract |
本研究では、マイクロサテライト不安定性(MSI)陽性大腸癌に対する免疫応答を誘導する癌抗原を解析して、診断や免疫療法に有用な標的抗原の同定を目的とした。前年度に引き続きSEREX法を行い150種の抗原を同定した。各種癌患者や健常人血清中の各抗原に対するIgG抗体の存在を検討し、68種の抗原はMSI陽性大腸癌患者血清中にのみ抗体反応を認めた。このうち、CDX2に対する抗体は、癌細胞にCDX2の翻訳領域内マイクロサテライトにフレイムシフト変異を認めた患者にのみ検出された。組み換え蛋白を用いた解析の結果、この患者では変異型CDX2のC末端側変異ペプチドに対する抗体が検出され、腫瘍特異的フレイムシフト変異ペプチドに対する免疫応答が起こることが証明された。この患者の腫瘍内には著明なCD8+T細胞浸潤が認められており、CDX2変異ペプチドに対するT細胞応答が患者の予後をよくしている可能性もあり、患者リンパ球からのCDX2変異ペプチド特異的T細胞の誘導を試みている。血清中の変異CDX2に対するIgG抗体は外科切除後に消失したので、このような抗体は診断にも応用できる可能性がある。次に、CDX2のように翻訳領域内にマイクロサテライトが存在しMSI陽性大腸癌においてフレイムシフト変異が認められる各種分子のC末端変異ペプチドに対する免疫応答を検討するために、変異部分の組み換え蛋白に対するIgG抗体の存在をウエスターン法により調べたが検出されなかった。しかし、検出感度の問題、T細胞では認識される可能性など、今後、検討する必要がある。以上、MSI陽性大腸癌患者ではMSIにより生じる腫瘍特異的フレイムシフト変異ペプチドが免疫応答を誘導することが示され、診断や免疫療法の標的抗原として利用できる可能性が考えられた。しかし、抗体反応で検出する限りその頻度は高くなく、今後T細胞レベルでの解析が重要である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kiniwa Y, Kawakami Y, et al.: "Tumor antigens isolated from a patient with vitiligo and T-cell-minfiltrated melanoma. Cancer Res."Cancer Res. 61. 7900-7907 (2001)
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[Publications] Kawakami Y, et al.: "Isolation of a new melanoma antigen, MART-2, containing a mutated epitope recognized by autologous tumor infiltrating T lymphocytes"J Immunolgy. 166. 2871-2877 (2001)
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[Publications] Kageshita T, Kawakami Y, et al.: "Clinical significance of MART-1 and HLA-A2 expression and CD8+ T cellinfiltration in melanocytic lesions in HLA-A2 phenotypey ptients"J Dermatol Science. 25. 36-42 (2001)
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[Publications] Kuwana M, Kawakami Y, et al.: "Induction of antigen-specific human CD4+ T cell anergy by peripheral blood DC2 precursors"Eur. J. Immunol. 31・9. 2547-2557 (2001)
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[Publications] Kuwana M, Kawakami Y, et al.: "Immunodominant epitopes on glycoprotein IIb-IIIa recognized by autoreactive T cells in patients with immune thrombocytopenic purpura"Blood. 98・1. 130-139 (2001)
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[Publications] Arai T, Kawakami Y, et al.: "Autoreactive CD4+ T cell clones to β2-glycoprotein I in patients with antiphospholipid syndrome : preferential recognition of the major phospholipid-binding site"Blood. 98・6. 1889-1896 (2001)