2000 Fiscal Year Annual Research Report
移植心冠状動脈硬化症に対する新しい分子治療法開発に関する研究-CCケモカイン、接着分子阻害による移植心への単球浸潤の阻止-
Project/Area Number |
12557113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90311753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
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Keywords | 慢性拒絶反応 / ラット異所性大動脈移植移植 / 接着分子 / 定量RT-PCR法 / ケモカイン |
Research Abstract |
まず、ラット心移植による慢性拒絶反応モデルの再現と治療試薬としての抗インテグリン抗体(LFA-1,Mac1,ICAM1,VCAM1)とケモカイン拮抗分子(抗MCP-1抗体、vMIP-II)の大量作成を試みた。治療試薬の大量作成は順調に行え、治療実験に必要な量の各試薬を準備し、活性検定を行った。しかし、驚いたことに心再移植法での慢性拒絶モデル作成に実績のある研究者が行っても、WKY心のLEWラットへの単純心移植による慢性拒絶反応の作成は極めて困難で、狭窄スコア0.3-0.5程度の軽度の病変しか作成出来ないことが明かとなった。 そこで、動物系統を他に論文報告のある、WKAH→LEW,LEW→F344,ACl→LEWに変更して各々血管病変の発生を組織学的に検討したが、いずれの場合にも血管病変以外の心筋への障害(急性拒絶病変)が強い点と血管内膜に浸潤する細胞がa-smooth muscle陽性細胞でない点から、慢性拒絶反応の治療モデルとしては不適切であることが明かとなった。現在、実験モデルを心移植から大動脈移植モデルに変更して、ACl→LEW,F344→LEW,WKY→LEWの3種の組み合わせで、適切な慢性拒絶反応モデルの作成が可能かどうかを検討しているが、数匹の限られた予備結果では、組織学的に適切な慢性拒絶反応モデルの作成がラット大動脈移植によって可能となることが示唆された。 予想し難い障害から本実験の進行はやや遅れているが、大動脈移植法の開発によって今後の研究の進行には期待が持てる。また平行して行っている心再移植による慢性拒絶反応の病態解析から、慢性拒絶反応に関与するケモカイン/ケモカイン受容体はIP-10-CXCR3,RANTES-CCR5,MCP1-CCR2であることが明らかになっているのでケモカインを対象とした本治療法の裏付けデータは集積しつつある(第36回移植学会総会にて報告)。
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[Publications] M.Tori,S.Kitagawa-Sakakida,Z.Li,H.Izutani,K.Horiguchi,T.Ito,H.Matsuda,R.Shirakura: "Initial T-cell activation required for transplant vasculopathy in retransplanted rat cardiac allografts."Transplantation. 70・5. 737-746 (2000)
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[Publications] S.Kitagawa-Sakakida,M.Tori,Z.Li,K.Horiguchi,H.Izutani,H.Matsuda,R.Shirakura: "Active cell migration in retransplanted rat cardiac allograftsduring the course of chronic rejection."Journal of Heart and Lung Transplantation. 19・6. 584-590 (2000)
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[Publications] 榊田悟,藤原大美: "新移植免疫学 第3章 移植抗原認識機構と急性拒絶反応"中外医学社. 24 (2000)
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[Publications] 榊田悟: "新移植免疫学 第4章 慢性拒絶反応と異種移植片拒絶反応"中外医学社. 21 (2000)