2000 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞および免疫抑制剤による神経栄養因子産生を介する脊髄損傷修復の基礎研究
Project/Area Number |
12557126
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
新田 淳美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (20275093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野元 裕 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (80164747)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90159129)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経栄養因子 / マクロファージ / グリア細胞株由来神経栄養因子 / ラット / 遺伝子導入 / 酵素免疫測定法 / 脳由来神経栄養因子 |
Research Abstract |
モータリゼーションの発達により交通事故の犠牲者は増加の一途をたどっている。特に脊髄にダメージを受けた場合は4肢の自由を失い、当事者のみでなく家族やまわりの者の生活を破壊してしまう。21世紀を迎え、質の高い生活を送れる生活を提供することが我々医学・薬学研究者の責務といっても過言ではない。しかし、脊髄にダメージを受けた患者に対しては奏功を持つ治療法が全くないのが現状である。そこで本研究では、神経細胞死に対して保護効果を持つことが報告されている神経栄養因子を脊随障害に対して応用できないか試みた。 グリア細胞株由来神経栄養因子(glial cell line derived neurotrophic factor; GDNF)や脳由来神経栄養因子のような神経栄養因子が脊髄の障害に対して保護的に働くことが動物実験レベルでは明らかである。しかし、このような神経栄養因子は高分子蛋白であり血中で代謝されやすく、しかも標的部位へ到達する保証もない。そこでこのような因子の発現べクターを構築し、生体で自ら産生させることを試みた。すでに報告されているGDNFのcDNAの配列をもとに、発現ベクターを作成した。このベクターをCOS細胞等に遺伝子導入すると、GDNFが過剰に発現することを免疫染色や酵素免疫測定法で明らかにした。 次にこのベクターを免疫担当細胞であるマクロファージに導入することを試みた。なぜならば、このような免疫担当細胞は生体がダメージを受けたときにその部位に集結する性質を持つことから、今までにないドラックデリバリーシステムとして応用しようと考えている。しかし、マクロファージヘの遺伝子導入はその他の株化細胞の場合と比べて各段に困難で、本年度の研究では成功していない。そこで次年度以降は、効率のよいマクロファージヘの遺伝子導入法に力点を置いて研究を進めたいと考えている。
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[Publications] Fukuta et al.,: "Difference in toxicity of amyloid b peptide with aging in relatuin to nerve growth factor content in rat brain"Journal of Neuronal Transsmission. In press. (2001)
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[Publications] Ikemoto et al.,: "Dietary n-3 fatty acid deficiency decreases nerve growth factor content in rat hippocampus"Neuroscience Letters. 285. 99-102 (2000)
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[Publications] 新田淳美と古川昭栄: "神経栄養因子(特集;アルツハイマー病と異常蛋白沈着による痴呆症をめぐる最近の話題)"Pharma Medica. 18. 87-93 (2000)
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[Publications] Kawakami et al.,: "Increase in neurotrophin-3 expression followed by Purkinje cell degeneration in the adult rat cere"Journal of Neuroscience Research. 62. 668-674 (2000)
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[Publications] Fukumitsu et al.,: "Aberrant expression of neurotrophic factors in the ventricular progenitor cells of infant congenitally hydrocephalic rats."Child s.Nervous.System. 16. 516-521 (2000)