2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12557127
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20178031)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / 滑膜炎 / apoptosis / ASK / in vivo |
Research Abstract |
本研究の目的は,遺伝子導入技術を駆使して滑膜炎に対する遺伝子治療法を確立することである.アデノウイルスベクターを用いて軟骨細胞に対し遺伝子導入を行ったところ,in vitroにおいてほぼ100%の導入効率が得られた.また同ベクターを用いて軟骨修復因子として注目されているtransforming growth factor(TGF)-β1遺伝子を導入し,この発現が3週間持続することを確認した.さらにin vivoに応用し,関節内ヘアデノウイルスベクターを直接投与した場合,滑膜細胞には高率に遺伝子導入が可能であった.アポトーシスを誘導する経路のひとつにMAPキナーゼカスケードが知られている.MAPKKKファミリーに属するapoptosis signal-regulating kinase(ASK)-1は,サイトカインや物理的ストレスによって活性化され,下流のSEK1-JNK経路およびMKK3/6-p38経路を選択的に活性化することによりアポトーシスを誘導する.ASK-1を細胞内で発現させることにより,Fasの発現の有無に関わらずapoptosisが誘導されることが報告され,Fas-FasLを介したapoptosis経路とならび注目されている.現在コラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルの関節内にアデノウイルスベクターを直接投与し,ASK-1を遺伝子導入することで,増殖した滑膜組織に対するアポトーシス誘導効果および関節軟骨の破壊抑制効果を検討している.同時に,in vivo遺伝子導入法による関節滑膜に対するアポトーシス誘導の安全性を確認するために,ベクターの体内動態や,関節および全臓器に対する肉眼的および組織学的変化を検討する.
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