2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳低温療法定着化への基盤研究:血液脳関門破綻によるニューロン障害の機構解明
Project/Area Number |
12557131
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大西 克幸 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (90127887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋一 金沢大学, 薬学部, 助教授 (90180413)
福原 稔之 愛媛大学, 医学部, 助手 (00228925)
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Keywords | 脳低温療法 / 血液脳関門 / 脳虚血 / ミクログリア / アルブミン |
Research Abstract |
虚血ニューロン死発生と血液脳関門の破綻およびアルブミンの脳実質内への漏れがニューロン死にどのように関与するかについて検証した。 (実験1)スナネズミ一過性前脳虚血モデルで,虚血後の一定時期ごとに蛍光色素(エバンスブルー:EB)を静脈内投与後,脳の各領域(大脳皮質,海馬,小脳など)からEBを抽出し,抽出液の蛍光強度(励起620nm,蛍光680nm)を測定し,血液脳関門障害の程度を経時的に定量分析した。虚血負荷をうけた大脳皮質,海馬では虚血1日後でEBの漏れが観察され,2日後にはやや減少,4日後をピークとし,30日後にはほぼEBの漏れが改善する2峰性のパタンを示した。海馬では大脳皮質に比べEBの漏れが多かったが,ニューロン死の発生する海馬CA1とニューロン死の発生しないCA3との比較では領域特異性は認められなかった。 (実験2)32℃の低温下でスナネズミに5分間の一過性前脳虚血を負荷した。この低温下脳虚血モデルでは血液脳関門の機能は保たれており,虚血ニューロン死が発生しない。虚血再灌流後より,浸透圧ミニポンプを用いて脳室内に別のスナネズミより採取した血清を持続投与し,海馬CA1領域にニューロン死が発生するかどうか検証した。低温下虚血群,アルブミン投与群の残存ニューロン数は,それぞれ93%,82%で,アルブミン投与によりニューロン死発生率が上昇した。 (実験3)血清アルブミンを持たない特殊なSD系ラット(NARラット)を用いて1時間の中大脳動脈閉塞を行い,24時間後に梗塞体積を測定した。正常ラット群の大脳皮質梗塞体積,線条体梗塞体積はそれぞれ139.0mm^3,44.5mm^3に対し,NARラット群の大脳皮質梗塞体積,線条体梗塞体積はそれぞれ127.0mm^3,29.4mm^3と正常ラット群に比較して縮小傾向を示した。 以上の結果より,血液脳関門の破綻および血清アルブミンの脳実質内への漏出は虚血ニューロン死発生に大きく関与しているが,血清アルブミン漏出以外のファクターも関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Si Q: "A serum factor enhances production of nitric oxide and tumor necrosis factor-a from cultured microglia"Exp Neurol. 162. 89-97 (2000)
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[Publications] 柳瀬尚人: "グルタミン酸毒性と虚血神経細胞死"Brain Medical. 12. 176-180 (2000)
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[Publications] Kataoka Y: "Neovascularization with blood-brain barrier breakdown in delayed neuronal death"Biochem Biophys Res Com. 273. 637-641 (2000)
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[Publications] Kakuda T: "Protective effect of γ-glutamylethylamide (theanine) on ischemic delayed neuronal death in gerbils"Neurosci Lett. 289. 189-192 (2000)
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[Publications] Yanase H: "Brain Hypothermia"Springer-Verlag. 14 (2000)