2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12557138
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
|
Keywords | Ras / ER / 造腫瘍能 / 細胞老化 |
Research Abstract |
細胞老化におけるRas-エストロゲンリセプターα(ERα)シグナル伝達路の意義:我々はERαはRas下流に位置し、活性型[12Val]K-Rasにより転写因子としての機能を亢進させ細胞形質転換を誘導することを明らかにした。本研究ではERαがいかなる分子機構の介在のもとにRasによる細胞癌化に関与するかを研究した。NIH3T3細胞を場として活性型[12Val]K-Ras発現K12V細胞を樹立した。K12V細胞は完全に形質転換し、造腫瘍能も保持していた。さらにK12V細胞へERドミナント・ネガティブ変異体を遺伝子導入したところ、再構成細胞は細胞増殖特性の抑制とともに細胞老化に伴い死滅した。再構成細胞ではp53依存性p21CDKインヒビター発現が亢進していた。p53抗体で免疫沈降し、MDM2抗体でウエスタンブロットを行ったところ、p53結合MDM2蛋白はK12V細胞で増大し、ドミナント・ネガティブER発現に伴い顕著に減少した。以上からRas/MAPK下流にERαは位置し、MDM2転写亢進に関与すると推測しERα強制発現細胞を樹立した。ERα高発現系はMDM2転写及び翻訳共に亢進することが判明した。MDM2発現はEts或いはc-Jun転写因子により制御されるため、ドミナント・ネガティブER変異体発現K12V細胞へc-Junを遺伝子導入した。c-Jun発現に伴いMDM2の発現増大を観察したためERαはMAPK-c-Junの中間に位置すると想定された。ヒト癌の多くでRas/ERα/p53シグナル伝達路の存在は癌分子標的療法の有効なターゲットと示唆された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] N.Shahib et al.: "Genetic Origin of Malignant Trophoblastic Neoplasms Analysed by Sequence Tag Site Polymorphic Markers"Gynecologic Oncology. 81. 247-253 (2001)
-
[Publications] Terao Y et al.: "Sodium butyrate induces growth arrest and senescence-like phenotypes in gynecological cancer cells"International Journal of cancer. 94. 257-267 (2001)
-
[Publications] Kato K et al.: "Contribution of estrogen receptora (ERa) to oncogenic K-Ras-mediated NIH3T3 cell transformation and its implication for escape from senescence by modulating the p53 pathway"Journal of Biological Chemistry. (in press).
-
[Publications] 加藤聖子: "新女性医学大系41(rasとそのシグナル:婦人科腫瘍の分子・細胞生物学)"中山書店. 23 (2001)