2000 Fiscal Year Annual Research Report
感覚器疾患への遺伝子治療法の開発-水チャネル遺伝子によるメニエール病・鼻ポリープの遺伝子治療へ向けて-
Project/Area Number |
12557142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 勝美 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40243224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 武 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30107031)
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Keywords | 水チャネル / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / 内耳 / 鼻粘膜 |
Research Abstract |
1.培養細胞への水チャネル遺伝子導入 RT-PCR法により増幅して得られた2種類の水チャネル遺伝子AQP2・AQP5の全長をシークエンスし塩基配列が完全であることを確認した後、adenovirus vector(AdV)内の外部遺伝子導入用カセット内に挿入した。培養液中に種々の濃度に希釈したAdVを付加し、培養細胞(COS細胞・oocyte)に感染させ、同細胞内に水チャネル遺伝子を導入させた。これらの感染細胞膜に水チャネル遺伝子AQP2・AQP5蛋白が発現しているか否かを、特異的ポリクローナル抗体によるWestern blotおよびRNAプローブによるNorthern blotにて確認した。また、感染細胞膜に発現する水チャネルが生理的機能を有するか否かを、感染細胞(水チャネル導入細胞)および非感染細胞(コントロール)に低浸透圧負荷を与えた際の細胞容積の変化を解析して確認した。機能的な水チャネルを発現する細胞では速やかに水輸送が惹起され、細胞容積は急速に増加した。 2.ラット・マウス内耳組織への遺伝子導入 in-vivoにて、ラット・マウスの中耳腔内および蝸牛内へAdV液を注入した。3日〜1週間生存させた後、内耳組織を摘出し、感染細胞をLacZ遺伝子のX-Gal染色で可視化した。LacZ遺伝子は、血管条、ラセン神経節細胞、支持細胞に発現していることが確認された。 3.ヒト内耳組織への遺伝子導入 側頭骨外科手術および神経耳科手術中に、患者のインフォームドコンセントを得た上で、内リンパ嚢、蝸牛、半規管等の内耳組織を摘出した。in-vitroの組織培養系を用いて、AdVを組織培養中に付加した後、感染細胞をLacZ遺伝子のX-Gal染色で可視化した。内リンパ嚢上皮および上皮下組織内にLacZ遺伝子の発現を確認した。 4.ヒト鼻粘膜への遺伝子導入 内視鏡下鼻内手術中に採取した鼻ポリープ、下鼻甲介粘膜を組織培養し、AdVを組織培養中に付加した後、感染細胞をLacZ遺伝子のX-Gal染色で可視化した。呼吸上皮および鼻腺上皮にLacZ遺伝子の発現を確認した。
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