2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12557145
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸彦 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (40292148)
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 助教授 (30203748)
石黒 誠一 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (20111271)
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Keywords | 網膜色素変性 / 遺伝子導入 / 遺伝子治療 / エレクトロポレーション / 結膜 |
Research Abstract |
網膜色素変性は遺伝性網膜変性疾患の代表的疾患であり、3500人に1人の頻度で発症し、本邦における成人中途失明原因の第3位に位置する失明対策上重要な疾患である。本疾患は遺伝性、進行性を基本としており現在のところ有効な治療法はなく患者や家族が被る心理的、肉体的苦痛は大きな社会問題となっている。本疾患に対して将来根本的な治療法として実用化が期待されるものとして遺伝子治療、網膜移植および人工網膜の三者があげられており、それぞれについて基礎的な研究が進められている。本研究は網膜に対する非ウイルスベクターであるエレクトロポレーション法を用いた遺伝子治療を目的としており、そのための技術面での検討と導入遺伝子の発現の確認を今年度の目標とした。まず、網膜への遺伝子導入であるが、網膜への到達経路として硝子体を経由したアプローチを選択して、第一段階として硝子体手術と網膜への遺伝子導入の技術の妥当性を検討した。その結果、ウサギ眼球では人工的網膜剥離を作成するのが困難で、当初計画したピンセット型電極ではなかなかうまく網膜へは導入できないことが判明した。この点については、電極の改良が必要であり将来の課題として残された。引き続き、第二段階として導入遺伝子の発現確認のために、網膜に先んじて結膜にmetalloproteinase 3 (MMP3) cDNAをベクターに組み込んだconstructをエレクトロポレーション法にて導入した。遺伝子発現はベクターに組み込んだGFPの発現を観察し、また効果はトラベクレクトミーを併施することで、同じ手術を施行した遺伝子非導入眼(対照眼)と術後眼圧を比較した。その結果、術後30日でも遺伝子発現は認められ、降圧効果も大きく、周囲組織での異常反応もみられなかった。以上の結果から、結膜への遺伝子導入の前段階として結膜への遺伝子導入には成功し、安全性や短期での有効性が確認され、今後さらに網膜への遺伝子導入へと発展する可能性が示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yamazaki H, et al.: "Nilvadipine, a Ca2+ antagonist preserves retinal morphology and functions in RCS rat"Invest Ophthalmol Vis Sci. 43(4). 919-926 (2002)
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[Publications] Maruyama I, et al.: "Autoantibody against neuron-specific enolase found in glaucoma patients causes retinal dysfunction in vivo"Jpn J Ophthalmol. 46(1). 1-12 (2002)
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[Publications] Ikeda Y, et al.: "Clinical significance of serum antibody against neuron-specific enolase in glaucoma patients"Jpn J Ophthalmol. 46(1). 13-17 (2002)
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[Publications] Tanimoto N, et al.: "Electroretinographic findings in three family members with X-linked juvenile retinoschisis associated with a novel Pro192Thr mutation of the XLRS1 gene"Jpn J Ophthalmol. 46(5). 566-576 (2002)
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[Publications] Ohguro H, et al.: "Sodium glutamate as flavoring (Ajinomoto) causes as intravitreous accumulation of glutamate"Exp Eye Res. 75(3). 307-315 (2002)
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[Publications] Ohguro H, et al.: "Anti-recoverin antibody in the aqueous humor of a patient with cancer-associated retinopathy"Am J Ophthalmol. 134(4). 605-607 (2002)
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[Publications] 中沢 満: "眼科診療Q&A31"加齢黄斑変性の原因遺伝子とその臨床応用の可能性(分担). 1000 (2002)