2000 Fiscal Year Annual Research Report
点眼による後眼部治療-その理論づけと後眼部治療点眼薬の開発-
Project/Area Number |
12557146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新家 眞 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (00092122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 征夫 千寿製薬, 新薬研究所, 所長(研究職)
松尾 寛 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
鈴木 康之 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80196881)
江連 洋治 わかもと製薬, 相模研究所, 所長(研究職)
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Keywords | イガニジピン / エンドセリン / セミオ-トラジオグラム / 視神経乳頭 / 網膜血管経 |
Research Abstract |
(1)血管作動性薬剤であるイガニジピン(水溶性Ca^<2+>拮抗剤)の点眼を有色家兎を対象とした実験を行った。片眼にイガニジピン(0.03%)を30μl、他眼に基剤を1日2回、約3週間連続点眼した。視神経乳頭末梢血流はLaser Speckle法で測定した。測定は、点眼前、6日、13日および20日目の点眼前、点眼後30、60、90分後とした。またカニクイ猿6匹を用いて1週間連続点眼し同様の実験を行った。家兎視神経末梢血流の定量的指数NB値は、6日目点眼30分後で約12%(P<0.05)増加したが、その後60、90分後は有意な差はなかった。13日目以降は、点眼前に比して、各測定時点全ておいて約30%(P<0.01)の増加が見られた。一方基材点眼側は変化は見られなかった。カニクイ猿眼では、1週間連続点眼で、点眼側のみにNB値の15%(P<0.05)増加が観察された。 (2)網膜血管に対する影響は、家兎眼にエンドセリンー1(ET-1)を硝子体注入した血流障害モデルにて検討した。片眼にイガニジピン(0.03%)を30μl、他眼に基剤を1日2回、3週間連続点眼したのち2.5、0.5、0.1、および0.02×10^<-7>molのET-1を各20μL、両眼の硝子体中に注入し、注入前、注入後15、30、60分後の眼底撮影を行い、注入前の網膜血管径との比較を行った。網膜血管は2.5×10^<-7>molのET-1では、両眼ともほぼ同率の収縮率を示したが、0.5、および0.1×10^<-7>molでは、点眼側の網膜血管収縮率はすべての観察時点において基剤点眼側に比べ有意に低かった。塩酸ベタキサロールに対しても同様の実験を行った。網膜血管は0.5×10^<-7>molのET-1では、両眼ともほぼ同様の収縮反応を各々示したが、0.1×10^<-7>molでは、点眼側の網膜血管収縮率は、ET-1注入後15分後において基剤点眼側に比べ有意に低かったが(P=0.0036)、30および60分後では、両眼とも同様の収縮率を示した。 (3)有色家兎を対象とし、片眼に^<14>Cでマーキングしたイガニジピン(0.09%)を1回30μl、他眼に基剤を単回点眼し、15、30、60および120分後に、液体窒素による全身凍結の後、頭部ごと眼球を切断したセミオ-トラジオグラムを作成した。セミオ-トラジオグラムの結果、点眼15分後には後極部にイガニジピンの移行みられ、点眼30分後には、後部強膜を含む広い範囲での移行が確認された。
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