2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体分解性ハイドロゲルを用いた網膜硝子体内生理活性物質送達システムの開発
Project/Area Number |
12557148
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
尾関 年則 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60254299)
木村 英也 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50252440)
桑野 光明 参天製薬眼科研究所, 眼科動態研究グループ, グループ長
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Keywords | 生体分解 / ハイドロゲル / 網膜硝子体 / 生理活性物質 / インターフェロン / 高分子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、臨床応用に耐え得る条件を満たす生体分解性高分子を用いた強膜埋め込み型生理活性物質送達システムを開発し、網膜硝子体内での生理活性物質放出の制御および生体適合性、治療効果を検討することにより、将来の実用化に向けた基礎的研究を行うことにある。生理活性物質として、血管新生抑制作用を有するインターフェロン・ベータに注目して、生体分解性高分子修飾していないインターフェロン・ベータそのものの硝子体内動態と網膜の通過性を検討する実験を行った。家兔眼の硝子体内に100万単位のインターフェロン・ベータを投与して、経時的に硝子体内および網脈絡膜組織内の濃度をELISAにより測定した。インターフェロン・ベータの硝子体内の半減期は約12時間で、網膜を通過し、網膜および脈絡膜には硝子体とほぼ同程度の濃度が検出された。このことは硝子体内で徐放されたインターフェロン・ベータが、網膜を通過して脈絡膜まで達し得ることを示している。次に、このインターフェロン・ベータと高分子との複合体化を試みた。生理活性を維持した状態で高分子と結合させることは、このシステムでは一番重要なプロセスである。ジエチレントリアミンペンタ酢酸残基を高分子デキストランに導入し、インターフェロン・ベータとZn^<2+>を介したキレート結合で複合体を作成することに成功した。家兔眼の網膜下に塩基性線維芽細胞増殖因子含有ゼラチンマイスロスフェアを投与し、実験的脈絡膜新生血管を作成した。この家兔に複合体を静脈内投与し、脈絡膜新生血管を有意に抑制することが示された。金属キレート結合を利用することにより、インターフェロン・ベータのような生理活性タンパク質と高分子との複合体化の可能性が示唆された。また、ヒFGF、TGFβ、VEGFなどの増殖因子をイオン複合体を形成させることにより、生体高分子ハイドロゲルから徐放させるシステムを報告した。
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[Publications] Yang,C.F.: "Experimental corneal neovascularization by basic fibroblast growth factor incorporated into gelatin hydrogel"Ophthalmic Res. 32. 19-24 (2000)
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[Publications] Yamamoto,M.: "Bone regeneration by transforming growth factor betal released from a biodegradable hydrogel"J Control Release. 64. 133-142 (2000)
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[Publications] Tabata,Y.: "Controlled release of vascular endothelial growth factor by use of collagen hydrogels"J Biomater Sci Polym Ed. 11. 915-930 (2000)