2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体分解性ハイドロゲルを用いた網膜硝子体内生理活性物質送達システムの開発
Project/Area Number |
12557148
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70191963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 光明 参天製薬眼科研究所, 眼科動態研究グループ, グループ長
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
木村 英也 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50252440)
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Keywords | インターフェロン / 生体分解性高分子 / ハイドロゲル / 網脈絡膜 / 血管新生 |
Research Abstract |
我々は、臨床応用可能な生理活性物質の眼内送達システムの開発を目的として検討を行ってきた。インターフェロンβは血管新生作用を有する生理活性蛋白質であることが知られている。しかし一般的にこのような高分子薬物を生理活性を有した状態で病巣部位に特異的に送達することは困難である。また、高分子化した薬物は腫瘍組織など病的血管新生を伴う組織においてEPR(Enhanced Permeation and Retention)効果により集積することが知られている。そこで、我々は生理活性高分子であるインターフェロンβとジエチルトリアミンペンタ酢酸残基を有するデキストランに亜鉛イオンを介してキレート結合で複合体を形成させることにより高分子化に成功した。本複合体は活性を消失することなく臍帯静脈血管内皮細胞の増殖を抑制した。さらに、塩基性繊維芽細胞因子を含有するゼラチンマイクロスフィアーを家兎網膜下に投与することによって作成した脈絡膜血管新生モデルを用いてそのin vivoでの薬効を評価した。血管新生を作製した家兎静脈内にインターフェロン-デキストラン複合体を投与したところ、複合体は血管新生部位に特異的に集積し有意に血管新生を抑制した。一方、生理活性蛋白などの高分子を硝子体内へ直接投与した場合において硝子体内半減期は低分子量化合物と比較してより長期間滞留可能であることが報告されている。これまでに生分解性強膜プラグ型や強膜内挿入型のインプラントにおいて標的部位である網脈絡膜や硝子体中に一定濃度の薬物を長期間送達可能であることを見出した。さらに、構造的にハイドロゲルなどの物質も内部に含有可能な生体非分解性基剤を用いた膜溶出制御型強膜内インプラントを用いてその有用性や薬物の標的組織中における分布を明らかにした。
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