2001 Fiscal Year Annual Research Report
易感染性宿主における感染根管由来細菌に起因する歯性病巣感染モデルの開発
Project/Area Number |
12557161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
恵比須 繁之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50116000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 諦 大阪府立成人病センター, 第5内科, 部長(研究職)
木ノ本 喜史 大阪大学, 大学院・歯学部・附属病院, 講師 (10252694)
野杁 由一郎 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50218286)
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Keywords | 易感染性実験動物 / 感染根管 / 根尖孔外 / 細菌バイオフィルム / 免疫抑制剤 / コンピュータ断層 / 菌血症 |
Research Abstract |
免疫抑制剤などを投与された易感染性宿主における口腔感染症と全身疾患との関連性については注目を集めているが、慢性根尖病巣が全身疾患に与える影響については未解明である。本年度は、免疫抑制剤の局所病巣への影響を検討するため、Cyclosporin A (Cs-A)投与時のラット根尖病巣の体積変化をコンピュータ断層(CT)を用いて経時的かつ3次元的に解析すると共に、病巣周辺部を病理組織学的に検索した。さらに、ビーグル犬の下顎第1後臼歯根尖孔外にガッタパーチャ(GP)ポイントを用いてバイオフィルムを形成させ、根尖性歯周炎に由来する菌血症モデルの開発に着手し、以下の結果を得た。 いずれのCs-A投与群(5,10ならびに20mg/kg/day投与群)も、Control群に比べ、根尖病巣の最大横断面積および体積は経時的に有意に減少した。また、組織学的検索では、生理学的根尖孔付近に著名な炎症性細胞浸潤が観察されたが、Cs-A投与群では炎症性細胞浸潤は軽度であった。Cs-A投与群の線維芽細胞を中心とする線維性組織の増生は、Control群に比べ根尖病巣周辺部で優位に認められ、Cs-Aが骨吸収の抑制と線維性組織の増生に影響を与えることが示唆された。 一方、ビーグル犬の根尖孔外に突出させたGPポイント表面にStaphylococcus aureusの単一菌バイオフィルムを形成し、採取したGPポイントの微細形態学的検索、細菌培養試験および末梢血中のS. aureusに対する抗体価の測定を行ったところ、S. aureusが単一分離・同定され、形態的にはブドウの房状のバイオフィルムコロニーが観察された上、抗体価の上昇が認められ、実験動物の根尖孔外に単一感染バイオフィルムを形成させる実験系を確立した。現在、ステロイドホルモンなどを免疫抑制剤を投与し、易感染性実験動物を作成した後、この系を用いて根尖孔外のバイオフィルムに起因する菌血症を検索中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 恵比須 繁之: "バイオフィルム感染症としての歯周病の特徴"炎症・再生. 21・2. 141-147 (2001)
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[Publications] 江原 篤: "歯性病巣感染の復権と根尖性歯周炎"歯界展望. 97・2. 414-415 (2001)
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[Publications] Noiri Y. et al.: "Participation of bacterial biofilm in refractory and chronic periapical periodontitis"Journal of Endodontics. 28(印刷中). (2002)