2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属アレルギー診断のためのX線分析顕微鏡による口腔内金属元素の迅速検出法
Project/Area Number |
12557166
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮川 修 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 明彦 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (20283020)
大川 成剛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80143791)
渡辺 孝一 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20018766)
村瀬 潤 堀場製作所, 分析センター, チーム・リーダー(研究職)
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Keywords | 金属アレルギー / 蛍光X線分析 / 試料採取 / 高速検出 / 元素分析 |
Research Abstract |
金属アレルギーの診断と治療のため,口腔内装着金属の元素を確認することが重要である.この研究の目的は,蛍光X線顕微鏡分析より,患者口腔内から採取した試料が微量であろうとも,金属元素の情報を素早く得ることができる方法を確立することにある.今年度は前年度の基礎的研究結果を基にして発展させ,さらに信頼できるデータを得る方法を検討した.純金の標準蒸着膜を用いて,採取試料量を推定したところ,およそ十ナノグラムであった.このように試料が非常に微量の場合,蛍光X線のエネルギーが高い元素ほど,定量値が低くなる傾向が認められ,これは,試料厚さが十分でないことに起因する.この現象を補うため,試料に高分子膜をカバーして分析することで,低エネルギーX線側を選択的に減衰させると,蛍光X線強度はエネルギー依存性が小さくなり,得られた定量結果は無限厚さの試料に近づいた.この改良により,歯科用合金の場合,主要元素に関しては数パーセントの誤差で分析可能であることが分かった.微量添加元素については0.5%含まれているZnが高い信頼性で検出できた.以上の結果から,この研究で提案された口腔内装着物からの金属元素分析法は,金属アレルギー診断のための方法として有効なことが分かり,臨床的にも応用可能であることが推定された.また,次のような問題があるため,更なる検討が必要なことが分かった.銀の定量値には大気のアルゴンの影響が含まれているため高めに計算される.Moは定量計算が常に低めに求まる.実際の推定量はL線も考慮して定量計算値の数倍であることが多い.
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