2001 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症への血管新生阻害剤TNP-470の応用に関する研究
Project/Area Number |
12557175
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐々木 朗 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00170663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 雅美 武田薬品工業株式会社, 創薬研究本部創薬第二研究所, 主席研究員
目瀬 浩 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40325098)
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Keywords | 破骨細胞 / 口腟扁平上皮癌 / 高カルシウム血症 / 骨吸収 / 血管新生阻害剤 / TNP-470 / 骨代謝性疾患 / 副甲状腺ホルモン関連蛋白 |
Research Abstract |
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症は患者のQOLや生存率を著しく低下させる大きな負の要因である.申請者は血管新生阻害剤であるTNP-470が血管新生阻害作用のみならず破骨細胞性骨吸収阻害作用を有することを明らかにし,前年度の研究では,悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症モデル,およびPTHrPとIL-1により誘発した非担癌高カルシウム血症モデルに対してもTNP-470が治療的に有用であり,その抑制効果は血管新生阻害を介した抗腫瘍効果のみならず,直接的破骨細胞性骨吸収阻害作用によることが示唆された.今年度の研究ではTNP-470の骨吸収抑制機構について分子レベルでの解析を行った. 1.in vitroにおける各種血管新生阻害因子の破骨細胞形成系への影響 各種血管新生阻害因子に関して検討したが,少なくとも破骨細胞形成において,TNP-470の破骨細胞形成抑制効果は血管新生阻害剤に共通の現象ではなく,特異的な作用である可能性が示唆された. 2.in vitroにおけるTNP-470の破骨細胞性骨吸収抑制機構の解析 TNP-470はVitD3やPTHrP存在下における破骨細胞形成を抑制したが,破骨細胞の吸収活性には影響しないことが分かった.また,TNP-470はRANKL, M-CSF,およびOPGの発現にはm-RNAレベルにおいては影響しなかった. 3.TNP-470の細胞障害性に関する検討 TNP-470の各種細胞への直接的細胞増殖抑制効果・および細胞障害性を検討した結果,TNP-470は10^3ng/ml以上の濃度において細胞増殖抑制効果および細胞障害性を認めたが,この濃度は破骨細胞形成を抑制する濃度より高く,直接的細胞障害によるものではないことが示唆された. 以上より,血管新生阻害作用のみならず破骨細胞性骨吸収抑制作用を有するTNP-470は癌治療のみならず骨代謝疾患に対しても有効であることが示唆された.
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