2001 Fiscal Year Annual Research Report
口腔病原性細菌の菌体表層多糖合成機構を標的とした新規抗生剤の開発
Project/Area Number |
12557186
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山下 喜久 日本大学, 歯学部, 教授 (20192403)
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Keywords | 口腔病原性細菌 / 細胞壁多糖 / 抗生剤 |
Research Abstract |
本年度は糖ヌクレオチドであるdTDP-ラムノースからS.mutansの菌体表層血清型特異多糖の合成を行う各種のグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を大腸菌に発現させて、各遺伝子産物の詳細な機能の解析を試みた。この結果rgp遺伝子群の最上流に位置するrgpA遺伝子産物が細胞膜に位置する脂質担体に転移されたN-アセチルグルコサミンに最初のラムノース残基を転移するグルコシルトランスフェラーゼであることが明らかとなった。すなわち、この遺伝子を失活した変異株Xc41株は、多糖合成の前駆体であるdTDP-ラムノースを合成することはできるが、dTDP-ラムノースを用いてラムノースを転移できないためその細胞壁に血清型特異多糖を全く合成しない株であり、細胞壁多糖がS.mutansの薬剤耐性に及ぼす影響を調べるのに、好都合の変異株であることが明らかとなった。 そこで、野生株のXc株ならびにXc41株の抗生物質に対する薬剤耐性を比較した。その結果、野生株の発育阻止には200U/mlのカナマイシンおよびスペクチノマイシンンあるいは7U/mlのバシトラシンを必要としたが、Xc41株では20U/mlのカナマイシン、67U/mlのスペクチノマイシン、0.53U/mlのバシトラシンによって発育が阻止されたことから、血清型特異細胞壁多糖がS.mutansの薬剤耐性に重要な働きをしていることが明らかとなった。この結果から、rgpAの遺伝子産物に対する阻害物質が、カナマイシ、スペクチノマイシン、バシトラシンなどの既知抗生剤に対するS.mutansの感受性を高めることが確認できた。 A.actinomycetemcomitansついてはa-eの血清型の細胞壁多糖を合成する遺伝子系をすでにクローンニングしたが、すべて血清型のA.actinomycetemcomitansで相同性組み換えの技術が確立していないため現在、その技術を確立している。この技術が確立でき次第上記と同様な系を用いて、各変異株の薬剤耐性を確認する。
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[Publications] Shibata, Y., Yamashita, Y.et al.: "Characterization of the rgp genes required for rhamnan synthesis in streptococci"Infection and Immunity. (In press).