成長分化因子による歯周組織の再生機構の解明と治療法への応用

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12557190
• Research Institution: Tokyo Medical and Denial University
• Principal Investigator: 石川 烈 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10014151)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 青木 章 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30302889) ; 木下 淳博 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10242207) ; 小田 茂 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70160869)
• Keywords: BMP / 骨形成因子 / エナメルマトリックスデリバティブ / EMD / 再生治療 / 歯周組織再生 / 歯根膜

Research Abstract

recombinant human bone morphogenetic protein-2(rhBMP-2)は,骨芽細胞への細胞分化を促進し,新生骨形成を促進することが示されてきた.しかし,セメント芽細胞への細胞分化を促准し,セメント質形成を直接促進するか否かは明らかにされていない.そこで,健金歯根膜からの細胞遊走を抑制させた環境で,rhBMP-2が新生セメント質を誘導するか、否か,健全歯根嘆からの細胞遊走の有無が,rhBMP-2による新生骨形成量に影響を与えるか否かを明らかにするため,以下 の実験を行った.
ビーグル犬を用い,健全歯根膜細胞の遊走を抑制した環境において実験を行った結果,健全歯根膜糾胞の遊走の有無によらずrhBMIP-2は新生骨の形成を有意に促進した.また,rhBMP-4の有無による,新生セメント質形成最への影響は認められなかった.健全歯根膜からの細胞遊走の有無は,rhBMP-2による新生骨形成量に影響を与えないことが示唆された.
EMDの歯周組織再生に与える影響をl組織学的に明らかにするため以下の実験を行った.
ラットを用い,新生硬組織形成を質的,最的に検討した.EMDにより上皮の深行増殖が抑制され,セメント質の形成が促進されることにより歯周組織再生が起こることが組織学的に、示唆された.
rhBMP-2とFMDを併用した場合に,rhBMP-2による歯周組織再生にEMDがどのような影響を及ぼすかを検討するため以下の突験を行った.
ビーグル犬を用い,エナメルマトリックスデリバティフ(EMD)を塗布後にrhBMP-2PGS複合体を埋植し結果,EMDの併用,非併用にかかわらずrhBMP-2を埋植した領域のほぼ全域に新生骨形成が認められた.このことから,rhBMP-2による新生骨形成は,EMDの併用によって大きな影響を受けないことが示唆された.健全歯根膜細胞の遊走が抑制されない環境において、新生骨形成にともなう歯根面への骨性癒着はEMDにより防御され,新付着が促准されることが示唆された.

Research Products

• [Publications] A.Aoki, M.Miura, F.Akiyama, N.Nakagawa, J, Tanaka, S.Oda, H.Watanabe, I.Ishikawa: "In vitro evaluation of Er : YAG laser scaling of subgingival calculus in comparison with ultrasonic scaling"Journal of Periodontal Research. Vol.35, No.5. 266-277 (2002)
• [Publications] 菊池重成: "ラット歯周組織欠損にエナメルマトリックスデリバティブタンパクを塗布した際にみられる歯周組織治癒の実験的研究"口腔病学会雑誌. 68巻, 1号. 82-92 (2001)
• [Publications] kinoshita A., Oda S., Kikuchi S., Tsuchioka H., ShirakataY., Takahashi K., Ishikawa I: "Effects rhBMP-2 on the Regeneration of Periodontal Tissue without PDL Cell Migration"86th Annual Meeting of American Academy of Periodontology journal of Periodontology. vol.71, No.11. 1816-1817 (2000)
• [Publications] 木下淳博, 小田 茂, 菊池重成, 土岡弘明, 村田秋彦, 白方良典, 高橋浩一郎, 石川 烈: "rhBMP-2を用いた歯周組織再生-矯正用ゴムバンドによる歯根膜細胞の遊走阻止の影響-"日本歯周病学会誌. 42(春季特別). 123 (2000)
• [Publications] 菊池重成, 小田 茂, 木下淳博, 矢沢浩史, 石 烈: "エムドゲイノを用いた歯周組織再生-ラット歯周組織欠損ヘエナメルマトリックスタンパクを応用した場合の組織学的観察-"日本歯周病学会誌.
• [Publications] 小田 茂, 木下淳博, 小島丈尚, 菊池重成, 根岸史恵, 行川 烈: "エムドゲインの効果について-基礎および臨床成績からの解析"日本歯科医師会雑誌. 52(11). 115 (2000)
• [Publications] 木下淳博, 小川 茂, 村田秋彦, 上岡弘明, 白方良典, 古瀬大治, 石川 烈: "recombinant human bone morphogenetic protein-2(rhBMP-2)による歯根膜・セメント質の再生"炎症・再生. 21(4). 496 (2001)
• [Publications] 伊藤幹太, 木下淳博, 小田 茂, 村田秋彦, 古瀬大治, 石川 烈: "rhBMP-2を用いた歯周組織再生,イヌ水平性性欠損へのエムドゲインの【○!R】併用の効果"日本歯周病学会誌. 43(春季特別). 109 (2001)
• [Publications] 木下淳博, 小田 茂, 村田秋彦, 土岡弘明, 伊藤幹太, 白方良典, 川勝紀子, 古瀬大治, 石川 烈: "骨形成因子(BMP), エナメルマトリックス抽出物(EMD)を用いた歯周組織再生"日本再生医療学会誌. 創刊号. 53 (2002)
• [Publications] SHIRAKATA Y., ODA S., KINOSHITA A., KIKUCHI S., TSUCHIOKA H., ISHIKAWA I.: "Histocompatibule healing of periodontal defeets after application of an injectable calcium phosphate bone cement.A preliminary study in dogs"Journal of Periodentology. Vol.73.No.9. 1043-10277 (2002)
• [Publications] Sasaki KM., Aoki A., Ichinose S., Yoshino T., Yamada S., Ishikawa I: "Scanning electron microscopy and fourier transfoumed infrared speetroscopy analysis of bone removal using l : r : YAG and CO2 lasers"Journal of Periodontology. Vol.73.No.6. 643-652 (2002)
• [Publications] Sasaki KM., Aoki A., Ichinose S., Ishikawa I.: "Morphological analysis of cementum and root dentin after Er : YAG laser irradiation"Lasers Surgery Medicine. Vol.31. 79-85 (2002)
• [Publications] 小田 茂, 木下淳博, 石川 烈: "歯周組織の再生とその特性"炎症・再生. 22(4). 315 (2002)
• [Publications] 小田 茂, 小島丈尚, 岩田隆紀, 石川 烈: "エナメルタンパクと歯周治療,-基礎及び臨床成績からの解析"日本歯周病学会会誌. 44(秋季特別). 57 (2002)
• [Publications] T.Iwata, Y.Morotome, T.Tanabe, M.Fukae, I.Ishikawa, S.Oida: "Noggin Blocks Osteoinductive Activity of Poreine Enamel Extracts"Jounal of Detital Research. vol.81, No.6. 387-391 (2002)
• [Publications] 編者 奥田克爾, 安孫子宜光, 石川 烈, 岡田 宏, 古賀敏比古, 野口俊英, 村山洋二: "歯周病学最前線オーラルケアが守る長寿社会のQOL第7章組織再先性歯周治療4.骨再生の実例"日本歯科評論社. 325-331 (2000)
• [Publications] 監修 岡田 宏, 石川 烈, 村山洋二, 編集顧問 中村 亮, 古賀敏比古: "先端医療シリーズ・歯周病2新しい治療を求めて,第1章歯周組織の再構築による治療3.歯周組織の再生"先端医療技術研究所. 15-20 (2000)
• [Publications] 山本松男, 小田 茂, 石川 烈: "別冊ザ・クインテッセンスYEAR BOOK今日の治療方針2000EMDOGAINを用いた再生テクニックは歯周治療をどう変えたか"クインテッセン出版. 85-89 (2000)
• [Publications] 石川 烈, 山田 了, 編 小田 茂, 木下淳博, 石田 列: "プログレッシブテクニック臨床医のための歯周治療 新しい歯周治療 進みゆく歯周治療.成長因子を用いた治療法"末長書店. 86-95 (2001)
• [Publications] 吉江弘正, 宮田 隆, 編 木下淳博, 小田 茂: "歯周病治療のストラテジー 第9章 分化成長因子・エナメルタンパクを用いた再生治療"医歯薬出版. 295-308 (2002)