2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼカスケード制御を基盤とした新規歯周病治療法の開発
Project/Area Number |
12557193
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鳥居 光男 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (30116066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富川 宗博 第一製薬(株), 開発企画部, 調査役
今村 隆寿 熊本大学, 医学部, 助教授 (20176499)
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
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Keywords | 歯周病 / gingipain / DX9065a / プロテアーゼ阻害剤 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
平成12年度および平成13年度の研究結果から、DX-9065aが炎症惹起活性をもつ血液凝固第十因子Factor Xa(F. Xa)の酵素活性を抑制するとともに、歯周病原細菌の一種である.Porphyromonas gingivalisの産生するシステインプロテアーゼgingipainの酵素活性をも強力に阻害することが明らかになった。本年度は、gingipanおよびFactor Xaによって誘導される遺伝子をDNAマイクロアレイを用いて検索し、両分子の新たな病理活性を探った。 歯肉線維芽細胞をgingipain-RおよびFactor Xaとともに培養し、培養1時間後、6時間後、および12時間後に細胞を回収、全RNAを抽出した。ついで、ヒトDNAマイクロアレイキット(第一化学薬品)を用いて、2400遺伝子の発現レベルのプロファイリングを行った。その結果、gingipain-RおよびFactor Xaによって、1時間以内に28遺伝子の発現の増加がみられた。 また、発現が誘導された遺伝子群は多岐にわたった。すなわち、gingipain-RおよびFactor Xaは、炎症反応に深くかかわるNF-kBやP-selectionなどとともに、細胞の分化・増殖にかかわる分子(例えば、myelin basic protein)、イオンおよび水チャンネル(例えば、Aquaporin 9)、膵酵素などを誘導することが明らかになった。また、未だ生理活性がわからない分子(IP6K1など)も誘導された。したがって、gingipainやFactor Xaなどのプロテアーゼは、単にたんぱく質を分解するだけでなく、細胞に直接作用して、炎症反応、増殖、分化などにダイナミックに関与していることが明らかになった。今回誘導が確認されたいくつかの分子について、それらの誘導に対するDX-9065aの効果について検討していきたいと考えている。
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