2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12557202
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
渋谷 雅之 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雄次 大鵬薬品工業, 第1がん研究所, 所長(研究職)
鈴木 一郎 徳島大学, 薬学部, 助手 (40294714)
根本 尚夫 徳島大学, 薬学部, 助教授 (30208293)
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Keywords | エンジイン / エンインアレン / 合成 / レキシトロプシン / ラジカル / ハロゲン / DNA / 切断 |
Research Abstract |
DNAと親和性の高い物質(レキシトロプシン類等)と、光照射により遺伝子に損傷を与える物質を化学的に結合することにより、癌細胞を選択的に死滅させ得る低分子化合物の開発を目的として研究を行った。遺伝子に損傷を与える物質としては、光照射によりラジカル活性種を生成するハロゲン化アリール化合物を開発し、レキシトロプシン誘導体を多数合成した。それらの紫外線照射下におけるDNA切断活性を測定した。その結果、ハロゲン原子の置換する位置や、ピロール環の重合度に比例したDNA切断活性が観測された。これらの化合物のin vitro抗腫瘍活性を測定したところ、幾つかの化合物において強い活性が認められた。これらの活性は、DNA切断活性とは必ずしもパラレルではないが、おおむね両者の活性の傾向は類似したものであった。さらに詳細な解析により、活性発現の規則性を研究し、新しい抗腫瘍性物質の設計を進める必要がある。 一方、エンジイン化合物については、生体内で発現するトリガーの働きにより、エンインアレンを生成し、引き続くマイヤース反応によりビラジカルを発生するエンジイン化合物を多数開発した。これらの化合物は、プロトン性溶媒中で、イオン的な挙動を示し、DNA切断活性も比較的弱かった。そこで、イオン的な性質を示す要因を解析し、新たにラジカル性の強い活性種を発生する化合物を設計した。合成した化合物は、比較的強いDNA切断活性を示したので、これらの抗腫瘍活性を検討中である。今後の課題としては、DNAに親和性を持つ化学種と、活性基をどのように組み合わせるかについて、理論的、経験的の両面から最適化合物を設計し、医薬品開発を目指したい。
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[Publications] 渋谷雅之: "Decarboxylative Cycloaromatization of Enediyne Model Compounds-Mechanism of Radical and Ionic Pathway"Tetrahedron Letters. 41. 95-98 (2000)
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[Publications] 渋谷雅之: "Synthesis of Enediyne Model Compounds Producing Toluene Diradicals Possessing a Highly Radical Character via Enyne-allene Intermediates"Tetrahedron Letters. 41. 10019-10023 (2000)
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[Publications] 渋谷雅之: "Acid-Catalyzed Cycloaromatization of Enediyne Model Compounds via Enyne-Allene Intermediates"Heterocycles. (印刷中). (2000)