2002 Fiscal Year Annual Research Report
高親和性抗体を用いた臨床検査用プロテインチップの開発
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12557239
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
古川 功治 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, 主任研究員 (00297631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 雅晴 極東製薬工業株式会社, 研究開発部, 部長代理
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
東 隆親 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (00028234)
有國 尚 サイファージェンバイオシステムズ, 鎌倉研究所, 所長
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Keywords | 抗体 / 親和性成熟 / レパートリー / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
本年度の研究目標は以下に焦点を絞った。1)高親和性抗体のデザイン、2)抗体発現系の確立、3)抗体創製効率化の免疫学的基盤解明。 まず、1)については、これまであまり議論されていない「H-L鎖の角度」に注目した新たな構造分類を可能にするコンピュータプログラムを作成した。これを用いて、現在明らかになっている抗体の立体構造を網羅的解析した結果、H-L鎖のtilt角がH63番のアミノ酸の種類に応じて変化していることを見いだした。抗体デザインに必須の知見である。(学会発表済、論文作成中)。また、高親和性化のデザインでは、抗原結合部位の構造をフレキシブルにすべきかどうかが常に問題となる。我々は、抗体の親和性成熟を反映する一群のモノクローナル抗体の抗原結合を速度論的、熱力学的に詳細に解析し、ここで観られる親和性成熟法が「ジッパーモデル」→「lock & keyモデル」の方向であることを見いだした(Mol. Immunol.,2003.)。2)については、米Scripps研究所のP. Schultz博士より恵与して頂いたファージディスプレイ発現系を改変することにより抗体発現系を作成し、抗体のFab部分が効率良く発現されるだけでなく、パニングにより、例えわずかな抗原親和性の差でも高親和性抗体を確実にスクリーニング出来る系を確立できた。3)については、B細胞レパートリーの網羅的解析法、解析結果表示法を確立するとともに、免疫応答に沿って起こるレパートリー変化を精査してきた。この結果、B細胞の取捨選択は単純に抗原親和性にのみ依存するのではなく、細胞の増殖能にも依存し、このことは抗原受容体のクラスにも影響を及ぼしていると考えられた。これらの知見は、個体が持つ免疫履歴とも深く係わっており、抗体作製の最重要ステップであるモノクローナル抗体作製段階の科学的基盤確立に大きく貢献する(論文投稿中、作成中)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sagawa T., Oda M., Ishimura M., Furukawa K., Azuma T.: "Thermodynamic and Kinetic Aspects of Antibody Evolution during the Immune Response to Hapten"Mol. Immunol.. 39. 801-806 (2003)
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[Publications] Yamamoto Y, Furukawa K., Azuma T.: "Three-dimensional Relationship between H-and L-chain of Antibody"Protein Sci.. 12・1. 103-103 (2003)
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[Publications] 古川安津子, 古川功治: "抗体の基礎研究〜より効率良く有用な抗体を得るために〜"医薬ジャーナル. 39. 67-72 (2003)