2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12558002
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大桑 哲男 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80115675)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 重信 日本クレア株式会社, 技術部・部長
|
Keywords | 近交係数 / 低酸素馴化ラット / 自由運動トレーニング / 脳 / 神経伝達 / 抗酸化能力 / GSH(還元型グルタチオン) / 8-OHdG(ヒドロキシデオキシグアノシン) |
Research Abstract |
本実験は無菌の低酸素アイソレーター内で、ランニングホイール付きラットケージにてWistar系Hanoverラットを飼育して行った。ラットの交配、出産、授乳、離乳、運動トレーニングは全てこのアイソレーター内において行った。これまでに親世代から低酸素環境にてオスとメスラット(各5匹)に8週間の自由運動を負荷し、最も走行距離の多かったオスとメスラットを兄妹交配させ、子供1世代目のラット(オス5匹、メス5匹)を作成した。この子供ラットを対象に親世代と同様に、低酸素環境にて同様な自由運動を負荷し、優れた走行距離をもつ2世代目の子供を得た。このような実験を繰り返し、現在10世代目の子供に、自由運動トレーニングを負荷している。すべてのラットはエーテル麻酔後、動脈から採血を行った後、肝臓、心臓、脳、横隔膜、ヒラメ筋、ヒフク筋を採取した。さらに脳は小脳、前頭葉、線状体、海馬に分けた。組織の中で最も低酸素に対する感受性が高い脳において、低酸素+運動群では前頭葉でノルエピネフリン、小脳でエピネフリン、線状体でドーパミンが著しく減少し、海馬はいずれの神経伝達物質も変化が認められなかった。これらの結果から低酸素+運動刺激は脳の部位によってその応答は異なることが明らかとなった。脳以外の部位への低酸素+運動刺激が神経伝達物質に及ぼす影響に関して、肝臓ではノルエピネフリン濃度が低下したのに対し、心臓では逆に増大し、臓器により低酸素+運動刺激への応答は異なることが認められた。さらに低酸素+運動刺激が抗酸化能力に及ぼす影響に関して、肝臓のGSHは低酸素環境で減少し、低酸素+運動刺激では有意に増大した。また低酸素+運動刺激は肝臓での8-OHdG濃度を減少させたことから、低酸素+運動刺激は肝臓でのDNA損傷を軽減させることが明らかとなった。これらの結果は近交係数が高まるにつれ(4〜5世代目の子供)、走行距離、組織中の抗酸化能力および神経伝達物質は親世代に比べ有意に低下した(p<0.05)。7世代目の子供になると走行距離と組織中の抗酸化能力と神経伝達物質は個体差が減少し、親世代の値に戻りつつあった。
|
-
[Publications] T.Ohkuwa, H.Itoh, T.Yamamoto, H.Yanagi, Y.Yamazaki, Y.Sato: "Effect of varying light intensity on maximal power production and selected metabolic variables"Archives of Physiology and Biochemistry. 109. 430-434 (2001)
-
[Publications] T.Ohkuwa, H.Itoh, T.Yamamoto Y.Yamazaki, Y.Sato: "Comparison of blood lactate levels between swimming in clothes and a swimsuit"Research Quarterly for Exercise and Sport. 73. 345-349 (2002)
-
[Publications] H.Nonaka, K.Mita, M.Wakatabe, K.Akataki, N.Suzuki, T.Ohkuwa: "Age-related changes in the interactive mobility of the hip and knee joints : a geometric analysis"Gait and Posture. 15. 236-243 (2002)
-
[Publications] Y.Yamazaki, M.Suzuki, H.Itoh, T.Ohkuwa: "Rapid acceleration of the lower arm correlates with agonist EMGs during the initial phase"Human Movement Sciences. 21. 259-272 (2002)
-
[Publications] T.Yamamoto, T.Ohkuwa, H.Itoh, Y.Sato, M.Naoi: "Effect of gender differences and volountary exercise on antioxidant capacity in rats"Comparative Biochemistry and Physiology. 132. 437-444 (2002)
-
[Publications] Y.Yamazaki, M.Suzuki, T.Ohkuwa, H.Itoh: "Coactivation in arm and sholder muscles during voluntary fixation of a single joint"Brain Research Bulletin. (In press).