2001 Fiscal Year Annual Research Report
受精卵へのDNA注入で部位特異的組換えシステムにより遺伝子置換を行う方法の開発
Project/Area Number |
12558095
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 喜美 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90211705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 操 熊本大学, 動物資源開発研究センター, 助教授 (60253720)
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Keywords | Cre / loxシステム / マイクロインジェクション / トランスジェニックマウス / 部位特異的挿入 |
Research Abstract |
マウス受精卵前核への遺伝子注入によるトランスジェニックマウス作製は、一般的に広く行われているが、トランスジーンの挿入部位やコピー数によって、発現パターンが大きく異なることも多いという欠点を持つ。ゲノム上の決まった場所にDNAを挿入させることができればこの問題は解決する。我々は、Cre-loxシステムを利用し、部位特異的挿入反応の効率を上げるため、野生型loxP配列の末端の配列を変化させた変異lox配列(lox66とlox71)や中央部のスペーサー領域に変異を加えたlox配列(lox511やlox2272)を組み合わせて用い、マウスES細胞でDNAを部位特異的に挿入させる方法を検討してきた。その結果、最もよい挿入(置換)効率と組換え後の安定性を示すのはlox66/lox71とlox2272の組み合わせであることがわかったので、次に、受精卵での組換えを試みるため、遺伝子トラップ法によって得られた1コピーのみトランスジーン(トラップベクターpU-17:SA-lox71-βgeo-loxP-pA-lox2272-pSP73-lox511)を持っているマウスライン3種を使って実験を行った。F1ヘミ接合体のオスに過排卵をかけた正常メスを交配し、受精卵を採卵、その前核にlox66-SA-EGFP-pA-lox2272-pSP73というコンストラクトのプラスミドとCreの発現ベクターpCAGGS-NLSCreをまぜてインジェクションを行った。仮親に移植して発生させ、12.5日で胚を取りだし、そのgenomic DNAをPCRおよびサザンブロットで解析した。総計504匹中トラップベクターを持っていたものが262匹、その262匹中EGFP遺伝子を持っていたものが3匹、その中で標的置換を起こしていたものが1匹であった。予期していたほど組換え効率は上昇しておらず、今後さらなる条件検討が必要である。
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[Publications] 荒木喜美: "遺伝子トラップ法によるランダムミュータジェネシス"分子細胞治療. 2. 162-168 (2001)
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[Publications] Kawazoe, Y. et al.: "Region-Specific gastrointestinal Hox Code during murine embryonal gut development"Develop. Growth Differ.. 44. 77-84 (2002)