2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12559002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 典弘 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (60132982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 睦夫 (財)日本鯨類研究所, 研究部生態研究室, 主任研究員
高橋 一彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (40302955)
大島 一彦 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 講師 (60282852)
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Keywords | レトロポゾン / SINE / クジラ |
Research Abstract |
クジラ目ヒゲクジラ亜目は大形の哺乳類であり、水中生活をする特徴などから、これらの系統関係の評価には大きな関心が寄せられている。これまでヒゲクジラ亜目の系統関係の評価は形態学、古生物学、分子系統学などの様々な分野で報告されてきたが、いまだにその系統関係は不明な点を残している。 今回、レトロポゾンの一種であるSINEの挿入解析を行なった。その結果、南氷洋ミンククジラのいくつかの座位においてSINEの挿入型が観察され、北太平洋ミンククジラのそれらの座位におけるSINEの挿入はいずれも固定していることが明らかになった。 また、ミトコンドリアDNAの全長配列をヒゲクジラ類6種で配列決定し、その配列に基づいて系統類縁関係を推定した。その結果、決定した6種のミトコンドリアDNA全長配列は長さ、構成とも哺乳類一般に報告されている特徴と一致していた。系統類縁関係を推定するため最尤法を用いて系統樹を構築したところ、これまでのヒゲクジラ類における系統解析と同様にセミクジラが最初に分岐することが示された。さらに、系統関係が曖昧であったナガスクジラ科は3つのクレイドに分かれた。クレイドIがニタリクジラ、イワシクジラ、シロナガスクジラ、クレイドIIがナガスクジラ、ザトウクジラ、クレイドIIIが南北ミンククジラであった。本研究で示されたナガスクジラ科の系統関係はこれまでArnasonら (1993),Arnason and Gullberg (1996)がmtDNAの部分配列を用いて解析したヒゲクジラ類の系統関係とは異なっていた。本研究で用いたデータはミトコンドリアDNAの全長配列という包括的なデータであり、ミトコンドリアDNAを用いたヒゲグジラ類の最終的な系統解析と言える。さらに、核DNAのSINE法を用いた解析との比較により、ヒゲクジラ亜目の進化の過程が明らかとなる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nikaido M, Matsuno F, Hamilton H, Brownell RL Jr, Cao Y, Ding W, Zuoyan Z, Shedlock AM, Fordyce RE, Hasegawa M, Okada N.: "Retroposon analysis of major cetacean lineages: the monophyly of toothed whales and the paraphyly of river dolphins."Proc Natl Acad Sci U S A. 98. 7384-7389 (2001)
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[Publications] Nikaido M, Matsuno F, Abe H, Shimamura M, Hamilton H, Matsubayashi H, Okada N.: "Evolution of CHR-2 SINEs in cetartiodactyl genomes: possible evidence for the monophyletic origin of toothed whales."Mamm Genome. 12. 909-915 (2001)