2001 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸固定を触媒する脱炭酸酵素群の発見とCO_2の精密分子変換技術の確立
Project/Area Number |
12559003
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長澤 透 岐阜大学, 工学部, 教授 (60115904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲二 三菱レーヨン, 横浜研究所, 主任研究員
吉田 豊和 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90220657)
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Keywords | ピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素 / インドール-3-カルボン酸脱炭酸酵素 / CO_2の精密分子変換技術 |
Research Abstract |
種々の脱炭酸酵素が動植物・微生物に存在し、多くの生化学的・酵素化学的知見が蓄積されており、脱炭酸酵素は一般的に逆反応によって炭酸固定反応を触媒しないとされて来た。しかし最近、可逆的に脱炭酸・炭酸固定反応を触媒する新規酵素として我々はピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素の存在を明らかにした。ピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素は効率良くピロールへの炭酸固定を触媒する。この酵素反応は生体触媒によるCO_2の利用、および精密分子変換バイオプロセスへの応用という観点で意義深いものである。しかし、ピロール-2-カルボン酸脱炭酸酵素と似通った特性を示す脱炭酸酵素の報告はこれまでにない。そこで我々は、炭酸固定反応をも触媒する脱炭酸酵素を新たに探索した。 可逆的に脱炭酸・炭酸固定反応を触媒する酵素反応を見いだすために、含窒素複素環化合物であるインドール-3-カルボン酸に着目した。インドール-3-カルボン酸を単一炭素源とした集積培養を行い、種々の土壌サンプルから脱炭酸活性を有する細菌およびカビを分離した。高いインドール-3-カルボン酸脱炭酸酵素活性を示した細菌FI 1612株を選択した。酵素活性は培地へのインドール-3-カルボン酸の添加によって強く誘導された。最適培養条件を検討した結果、脱炭酸および炭酸固定活性がともに向上した。休止菌体を用いた炭酸固定を試みたところ、インドールと炭酸水素カリウムからインドール-3-カルボン酸の生成が認められた。 以上の検討結果から、さらに芳香環、複素環カルボン酸脱炭酸反応を触媒する酵素を広く微生物界に探索することにより、可逆的脱炭酸酵素の存在が強く示唆される結果となった。これらの反応を系統的に収集することにより、CO_2の精密分子変換技術の規範となろう。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M. Wieser et al.: "Carbon Dioxide Fixation by Reversible Pyrrole-2-carboxylate Decarboxylase and its Application"Journal of Molecular Catalysis B : Enzymatic.. 11(4-6). 179-184 (2001)
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[Publications] T. Yoshida et al.: "Enzymatic Functionalization of Aromatic N-Heterocycles : Hydroxylation and Carboxylation"Jouranl of Bioscience and Bioengineering. 89(2). 111-118 (2000)
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[Publications] 吉田豊和ら: "微生物のcarboxylation反応とその利用"日本生物工学会誌. 79(10). 403-406 (2001)
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[Publications] T. Matsuda et al.: "Conversion of pyrrole-2-carboxylate by cells of Bacillus megaterium in supercritical CO_2"Chemical Communications. 2194-2195 (2001)