2002 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム戦争はどう記憶され、どう語られるのか、その現場(フィールド)心理学的検討
Project/Area Number |
12571005
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊藤 哲司 茨城大学, 人文学部, 助教授 (70250975)
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Keywords | ベトナム / ベトナム戦争 / 記憶 / 語り / 戦争の物語 |
Research Abstract |
研究計画に基づいて、今年度はベトナムでの現地調査を2回(2002年4月28日〜5月10日:渡航先ハノイ,2002年9月3日〜9月12日:渡航先ハノイ・ホーチミン市)、アメリカでの現地調査を1回(2002年8月7日〜8月16日:渡航先:ニューヨーク・ワシントンDC・ホノルル)行った。 いわゆるベトナム戦争に直接関わった人々に、その経験を語ってもらうのが本調査の基本であるが、今年度はとくに、1975年4月30日のサイゴン解放の日を現地で迎えた様々な立場の人々にとくに焦点を当てた。また、アメリカに難民として渡った人々にも着目し、現在の居住地で当時のサイゴンを振り返ってもらい、その経験を語ってもらった。サイゴン解放当時の立場の違いによって、語られる内容が異なるわけだが、現在どこに住んでいるのか、ベトナム国内なのか国外なのかという点でも、語られる内容に大きな相違点があることが明らかになってきた。ベトナム戦争当時の南北分断のしこりというのは、ベトナム国外まで目を向ければなおさら、現在でも根強く続いている。 アメリカでの現地調査では、2001年9月11日にニューヨーク等で起こったテロ事件の余韻とアメリカの戦争観を知るために、ニューヨークとワシントンDCでは、貿易センタービル跡地やホロコースト博物館にも足を運んだ。同時に文献資料を現地で収集し、アメリカのベトナムに対する見方や、むしろアメリカの生活に惹かれていったベトナム人たちの背景を捉えることを試みた。 来年度はベトナムと日本での現地調査をもう少し重ね、これまでの成果の総まとめを行いたい。
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Research Products
(1 results)