2001 Fiscal Year Annual Research Report
変化しつつある社会における子どもの生き方の形成-個人道徳の発達を中心として-
Project/Area Number |
12571008
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
二宮 克美 愛知学院大学, 情報社会政策学部, 教授 (20135271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
首藤 敏元 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30187504)
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Keywords | 道徳 / 慣習 / 社会的領域理論 / 権威概念 / 自己決定権 / 自己優先-自己犠牲 / 青年(中学生・大学生) / 日本:中国:韓国 |
Research Abstract |
児童・青年が個人道徳(person-moral)の場面において道徳的義務感、自己決定権意識ならびに自己犠牲の意識をどのように発達させるのかを明らかにするために、調査項目の作成と翻訳、実際の調査実施の手配などを行った。2001年6月から7月にかけて、日本と中国で、中学3年生生を対象にして、社会的領域概念(道徳、慣習、個人)における行為の悪さ評定や自己決定権意識と権威概念、自己犠牲と自己優先に対する意識などの調査を実施した。その主要な結果、次の通りである。(1)日本も中国も、道徳や慣習の領域の違反行為が悪いと判断していること、個人領域の行為は「個人の自由」であると考えていることがわかった。(2)自己決定意識が高く、それは日本の中学生において顕著であった。(3)親から言われているルールとして慣習領域のルールが一番よく言われていると認知していた。(4)教師権威は、個人領域までは及ばず範囲が限定されているものの、中国の方が教師権威を認める方向にある。(5)自己犠牲を高く評価しているが、日本の方が自己優先の決定権を認めていた。 韓国、バングラデシュならびにミャンマーの大学生についての調査も実施したが、現在データ整理中である。韓国と日本、中国の比較調査結果は、近いうちに論文としてまとめる予定である。さらに台湾やタイでの調査も企画しており、調査項目の翻訳を終えた段階である。こうした多文化間の比較をとおして、わが国の変化しつつある社会における子どもの生き方(個人道徳の発達を中心として)を明らかにすることが今後の課題である。
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