2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨と位牌―東アジア周縁社会における先祖祭祀の象徴に関する比較民俗学的研究―
Project/Area Number |
12571015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古家 信平 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (40173520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆志 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (50191416)
中込 睦子 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (60302337)
真野 俊和 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (10171076)
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Keywords | 先祖祭祀 / 位牌 / ムーダン / 葬墓制 |
Research Abstract |
韓国、台湾、日本における先祖祭祀の具体的様相を、骨と位牌という2つの象徴に注目して、それらの関連性の下に比較検討するのが本研究の課題である。12,13,14年度の調査によって、日本本土と韓国の事例研究にひとつの見通しを得たので、15年度には鹿児島県与論島にフィールドを移して日韓の研究者が合同で調査,検討会を行い、これまでの資料を踏まえた討論を行った。 与論島の調査においては、2003年に火葬場が新設されることに伴う、葬墓制の変化を調査したが、崖葬から、土葬、火葬に変わっていく全過程が記録でき、奄美大島の石材店が新築した納骨スペースを持つ和式墓地に納骨する儀礼も観察でき、遺骨に対する観念の把握に資すること大であった。数箇所に点在する共同墓地の現状も墓石、納骨器、配置のすべてにわたって記録し、近藤功行氏の記録との対照が可能となって、変化の相を具体的に把握できることになった。また、死に先立つ年祝い習俗も調べ、従来、民俗学で提起されてきた循環的生死観を再検討した。 韓国の調査では、ソウル近郊のムーダンを訪ね、先祖祭祀にかかわる都市化した儀礼を観察し、従来の理想的儀礼パターンとの対照を可能とした。規範から外れる事例を集積することによって、現実の先祖祭祀の様態を明らかにできるとの感触をつかんだ。 4年度にわたる調査研究をまとめるべく、報告書を作成した。
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