2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国東北部におけるアルタイ語族の諸民族のシャーマニズムと社会に関する人類学研究
Project/Area Number |
12571020
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
KNECHT Peter 南山大学, 人文学部, 教授 (00121468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
畑中 幸子 中部大学, 国際関係学部, 名誉教授
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍:中国・日本・スイス / 文化人類学 / 社会人類学 / シャーマニズム / 少数民族 / 国際情報交換 / 社会変化 |
Research Abstract |
クネヒト・ペトロ 8月に調査を行った。先ず、北京で社会科学院の研究員と会って、調査について相談して、またラマ教の雍和宮を見学した。次に、呼倫貝爾市へ行って、既に面識のあるシャーマンたちが行なっている各種の儀礼をできるだけ多く見学した。録音した儀礼の文句を、現地の人々の協力を得て予備的に訳し、特に病気治しとお祓いの儀礼の理解を深めた。シャーマンの成巫儀礼とモンゴルの民間医療者のイニシエーション儀礼を観察できたので、二者の類似と差異を考察するのに絶好の機会と資料を獲得した。 畑中幸子 今までの調査が遺した問題点を補充する他に、オロチョン族狩猟民のlife historiesを採取し、彼らの現在の生活状況と考え合わせて、定住化政策がオロチョン族の社会組織、言語生活、アイデンティティ等にどのような影響を与えているかを調べた。高度経済成長とそれに伴う近代化が彼らの世界観や価値観を大きく変え、彼らの氏族社会を崩壊に至らしめた過程の考察ができた。 黄強 主としてここ3年間の調査成果を確認し、補充する目的で二回出張した。 1)第一回目の調査の際、先ず中国人研究者を訪ね、彼らによる最近のシャーマニズム研究の動向と成果について意見を交換した。後に、黒龍江省でホジェン族のシャーマニズムと社会状況を調べた。漢人と雑居している彼らの伝統文化は、漢人文化と宗教の影響を強く受けながら、近代化と観光の結果で大いに変わってきていることが分かった。吉林省では、満州族尼瑪氏族の村で「辨譜儀礼」等を調べ、特に若者の祖先信仰において大きな変化が起こりつつあるのを把握した。更に、動物信仰と治病儀礼の関連のあり方を調べられた。 2)第二回目の短期調査では、主として北京の大学等の研究施設と図書館で文献調査を行い、資料蒐集に努めた。ワークショップ11月にオロチョンの研究者2名を招聘して、シャーマニズムに関する国際ワークショップを南山大学で実施した。
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