2001 Fiscal Year Annual Research Report
アレヴィー・ベクタシ集落における伝統的文化の変化と持続に関する調査研究-トルコおよびブルガリア-
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12571021
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Research Institution | Osaka International University for Woman |
Principal Investigator |
佐島 隆 大阪国際女子大学, 人間科学部, 助教授 (40192596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井谷 鋼造 追手門学院大学, 文学部, 教授 (60144309)
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Keywords | アレヴィー / ベクタシ / イスラームとキリスト教 / 聖者廟:ジェム:セマー / スンニー化 / 春季祭・秋季祭:マエ儀礼 / アーシュク・ヴェイセル:オザン / トルコ:ブルガリア |
Research Abstract |
本年はトルコ政府宗務庁などとの関係で幾つかのアレヴィー集団が訴訟問題を抱えるるなど、アレヴィーをめぐる、政治的、社会的動向が急になり、ホットな話題になってきた年であった。そのため政治的な動向との関係からもアレヴィー社会、文化について調査した。その結果としてトルコ宗務庁のイスラームであるスンニー・イスラームへと変化つまりスンニー化するアレヴィー集落が調査によって明らかになってきた。その一方でアレヴィー文化を維持しようという動きも調査により明瞭になった。佐島はアンカラ周辺に絞って(それでも約50か村以上)現在のアレヴイー集団の動向を調査した。それによってスンニー化の様態、つまりアレヴィー文化の変化・変容が明らかになってきた。アレヴィー文化を維持する拠点についてもイスタンブル,アンカラ、スィヴァスなどの調査を実施した。ブルガリアに関しても同様の調査を研究協力者の寺島憲治が始めた。 宗派宗教など他の集団との関係。信者数として最も多いハルヴェティェ教団とアレヴィー集団との関係について、その有力な霊廟ウンミ・シナンの墓地調査を、井谷鋼造が行った。碑文として霊廟の敷地・墓地にあるすべてを読み、資料化した。現在分析中。 アレヴィー共同体の要にある儀礼の中で演奏される音楽文化については研究協力者斎藤完が、伝説的でもあるが最大の音楽演奏家であるアーシュク・ヴェイセルを中心に調査、分析した。 ブルガリアについては昨年度から持続して、研究協力者の上岡弘二と寺島憲治がロドピー山脈のアレヴィー系集落を調査してきた。平成13年度はロドピー山脈の東部における春季祭・秋季祭の調査をし、牧羊業と関連する儀礼システムと農業のそれといった、生業形態とマエ儀礼との関連についても明らかにしつつある。 なおアレヴィー・ベクタシに関連する文献と関連文献の著者の「文献目録」を斎藤が中心となって作成に着手した。
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[Publications] 斎藤 完: "イスタンブルにおけるアレヴィーのデルネッキ"現代の中東(日本貿易振興会アジア経済研究所). 32. 81-89 (2002)
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[Publications] 佐島 隆: "イスタンブルにおけるアレヴィーのデルネッキ(解題)"現代の中東(日本貿易振興会アジア経済研究所). 32. 79-81 (2002)
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[Publications] 佐島 隆: "聖地ハジュベクタシの構造と変化-イスラームと民間信仰-"日本民俗学会第35回研究大会研究発表抄録(2001年5月に口頭発表したものの発表要旨). 129 (2001)
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[Publications] 斎藤 完: "ジャン・ヤユンラルの1日-同社社主アーディル・アリ・アタライ氏に聞くアレビー事情-"通信(東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所). 104(印刷終了、発行の頃です。). (2002)
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[Publications] 斎藤 完: "現代におけるアーシュク・ヴェイセルの意義-トルコ共和国における吟遊詩人の現在-"東洋音楽研究(東洋音楽学会). 67(掲載決定). (2002)
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[Publications] 菊地繁夫, 佐島隆 共編: "異文化コミュニケーション研究-伝達・交流・理解-このうち佐島隆「スンニー化するアレヴィー集落」の部分。"大阪国際女子大学・女子短大 異文化コミュニケーションセンター(印刷中). (2002)
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[Publications] Kenji Terajima(寺島憲治): "The Diary of a Bulgarian Peasant Iliya Vankov for the Year 1900"Institute for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa. 317+V (2001)