2002 Fiscal Year Annual Research Report
アレヴィー・ベクタシ集落における伝統的文化の変化と持続に関する調査研究―トルコおよびブルガリア―
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12571021
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
佐島 隆 大阪国際大学, 人間科学部, 助教授 (40192596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井谷 鋼造 追手門学院大学, 文学部, 教授 (60144309)
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Keywords | アレヴィー / ベクタシ / エスニシティ / アイデンティティ / ジェム儀礼 / セマー / ネフェス / アーシュク・ヴェイセル / オザン / スンニー化 / 文化変化 / 春季祭・秋季祭 / マエ儀礼 / トルコ / ブルガリア / ギリシア / 聖者・霊廟関係文化 / 民間信仰 |
Research Abstract |
本年は補充調査と報告書作成の年であった。上岡弘二はブルガリア北部で入手した「ネフェス」を資料化している。調査から得た知見を分析しアレヴィー・ベクタシ文化とシーア派との関係を論考にまとめた。またロンドンにおけるアレヴィー集団の活動について調査した。寺島憲治はブルガリア調査から得たアレヴィー・ベクタシ文化の概括をまとめている。ブルガリア南部で実施されている「マエ儀礼」のまとめが完了しつつある。佐島隆は多様で広大なアナトリアのアレヴィー集団を調査しハジベクタシ関連についてまとめている。アンカラ周辺については共同研究者上原三紀子と共に調査し、アレヴィー系組織アイドゥスワクフの活動を中心に報告した。同組織についてトルコ在留の上原は調査を続行し報告し、さらにジェム儀礼を文字化し資料化した。佐島はアレヴィー系集落がトルコ宗務庁のスンニー派イスラームを受容する具体相を報告した。斎藤完は佐島と共に、移動してきたアレヴィー集団を辿りギリシアに調査を拡げた。斎藤はアレヴィー関連出版社を調査し報告した。そしてトルコ共和国最大の音楽家アーシュク・ヴェイセルについて調査し論考にまとめた。イスタンブルのカラジャアフメト協会を調査し社会的側面についてまとめた。そこで実施されているジェム儀礼を文字化し、インターネット活動についても資料化した。井谷鋼造はウンミ・シナン霊廟の敷地内にある墓碑や石碑の悉皆調査をし、完成させた。この敷地にはむしろハサン系サイイドの墓碑が多いことが分かった。以上アレヴィー文化やアイデンティティを示す重要要素を明らかにできた。アレヴィー文化に顕著な聖者・霊廟に関する文化や民間信仰、ジェム儀礼等諸儀礼の具体的な実態、社会的組織や活動についても明らかにできた。またその思想や社会的秩序について実態調査からデータを収集した。そして歴史的政治的状況の中でアレヴィーの変化についても明らかにできた。
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[Publications] 斎藤完, 佐島隆: "イスタンブルにおけるアレヴィーのデルネッキ"現代の中東(日本貿易振興会・アジア経済研究所). 第32号. 79-89 (2002)
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[Publications] 斎藤完: "現代におけるアーシュク・ヴェイセルの意義-トルコ共和国における「吟遊詩人」の現在-"東洋音楽研究(東洋音楽学会). 第67号. 43-59 (2002)
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[Publications] 寺島憲治: "ブルガリアの民間信仰-キリスト教とイスラム教のはざまにて-"通信(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所). 101号. 56-58 (2001)
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[Publications] 斎藤完: "ジャン・ヤユンラルの1日-同社社主アーディル・アリ・アタライ氏に聞くアレヴィー事情-"通信(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所). 104号. 1-10 (2003)
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[Publications] 佐島隆: "聖地ハジュベクタシの構造と変化-イスラームと民間信仰-"日本民族学会第35回研究大会(神戸大学). 要旨は『抄録』(口頭発表). 129 (2001)
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[Publications] 佐島隆: "アレヴィーのスンニー化"日本民族学会第36回研究大会(金沢大学). 要旨は『抄録』(口頭発表). 72 (2002)
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[Publications] Takashi SASHIMA: "Symbolism of The Crane in Japanese Culture"Hac_1 Bektas Veli Arast_1rma Dergisi. (出版予定). (2003)
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[Publications] Mikiko Uehara: "Tesekkurler Aydos Vakf_1na"AYDOS (Aydos Vakf_1). Y_1l:6Say_1:18. 30 (2003)
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[Publications] 佐島隆: "現代トルコにおける民俗文化の変化-「アレヴィー」のセマーフ(semah)を中心にして-"近畿民俗学会(2000年11月19日). (口頭発表). (2000)
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[Publications] 井谷鋼造: "「トルコ民族の活動と西アジアのモンゴル支配時代」 『新版世界各国史9西アジア史IIイラン・トルコ』(永田雄三編)"山川出版社. 550(99-179) (2002)
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[Publications] 佐島隆: "「スンニー化」するアレヴィー系集落-トルコ宗務庁の影響と文化的伝統の継受-」 『異文化コミュニケーション研究-伝達・交換・理解-』(菊池繁夫・佐島隆共編)"大阪国際女子大学・大阪国際女子短期大学異文化コミュニケーションセンター. 183-203 (2002)
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[Publications] 佐島隆: "伝承のアレヴィー・ベクタシ文化-口承・書承・多様な伝承様式-『異文化コミュニケーション研究-伝えると伝わる-』(菊池繁夫・佐島隆共編)"大阪国際女子大学・大阪国際女子短期大学異文化コミュニケーションセンター. 97-121 (2001)
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[Publications] Kenji Terajima: "The Diary of a Bulgarian Peasant Iliya Vankov For the Year 1900"Institute for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa. 317+v (2001)