2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国・東南アジア大陸部の国境地域における諸民族文化の動態に関する人類学的調査研究
Project/Area Number |
12571027
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
塚田 誠之 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (00207333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 敏 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助教授 (10278038)
長野 泰彦 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 教授 (50142013)
田村 克己 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (40094156)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60230786)
長谷川 清 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 助教授 (70208479)
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Keywords | 中国 / 東南アジア大陸部 / 国境地域 / 跨境民族 / 少数民族 / 多数派民族 / 文化変化 / 観光開発 |
Research Abstract |
本年度は初年度であるゆえ、中国と東南アジア大陸部の国境地帯に居住する諸民族の文化に対する研究の問題点を整理することに重点をおいた。韓・長野・長谷川が中国に、塚田がベトナムへ、吉野がタイへ、加藤がミャンマーへ、それぞれ約15日〜30日間出向き、実態調査を行った。海外共同研究者は日本側の現地調査・現地討議に全面的に協力した。課題に関わる具体的な問題点として、たとえば中国雲南では対外開放政策と市場経済が大規模に進行するなかで、国境地域のタイ族など少数民族や漢族のもとで観光開発が進み、諸民族の文化が大きく変化していることが明らかになった。民族文化の変化は東南アジア大陸部の側でも生じており、たとえばタイのミエン・ヤオ族の社会において核家族化現象、祭祀組織の変化が生じていることが明らかになった。また、文化変化はカチン語やカレン語など言語の面でも生じていることが明らかにされた。なお、文化変化のありようは中国側と東南アジア側とに跨る同系民族、いわゆる「跨境民族」の間で一様ではなく、たとえば中国広西と国境を接するベトナム北部の少数民族ヌン族・タイー族は同系の広西壮族よりも文化変化の速度が遅く、多数派民族ベト族と国家の政策の影響を受けつつ自民族のエスニシティの独自性を濃厚に保持していることが明らかになった。 なお、海外共同研究者のうち中国の張公瑾・范宏貴の両名を、それぞれ8日〜12日間日本に招聘し、国立民族学博物館で研究集会を開催した。とくに中国とベトナム・ラオスに居住する諸民族およびその文化の異同点、中国と東南アジア各国に居住するタイ系民族の言語・文字に焦点が当てられ、国境を越えて居住する諸民族の比較という研究課題の中核となる重要な問題点が議論された。以上の活動により初年度の目的が達成されたといえる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 塚田誠之: "壮(チワン)族の『三月三歌節』にみられる文化変容とその背景"佐々木信彰 編『現代中国の民族と経済』(世界思想社). (印刷中). (2001)
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[Publications] 長谷川清: "観光開発と民族社会の変容-雲南省・西双版納タイ族自治州の事例-"佐々木信彰 編『現代中国の民族と経済』(世界思想社). (印刷中). (2001)
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[Publications] 韓敏: "知られざる国境地域の漢族村・和順郷"まほら. (印刷中). (2001)
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[Publications] 加藤昌彦: "ポー・カレン語の関係節"東京大学言語学論集. 20(印刷中). (2001)