2002 Fiscal Year Annual Research Report
ペルシア湾と紅海の都市遺跡比較から見る古代海上貿易史研究
Project/Area Number |
12571031
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐々木 達夫 金沢大学, 文学部, 教授 (60111754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 保良 国土舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70138171)
蔀 勇造 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90126079)
佐々木 花江 金沢大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教授 (40303276)
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Keywords | ペルシア湾 / アラビア半島 / 海上貿易 / イスラーム陶器 / 中国陶磁 / 遺跡比較 |
Research Abstract |
今年度の研究成果は、アジア東西世界が海上交通を通して文化交流した痕跡を、出土遺物から継続して探ったことである。いくつかは、これまでの調査成果を含めて、別紙掲載の9本の平成14年度刊行論文となった。8〜9世紀頃、アッバース朝の白濁釉陶器が中国白磁から影響を受けて変化発展した状態の解明。ペルシア湾北岸地域の遺跡出土陶磁器の実態とその紹介。15世紀頃のインド洋貿易でミャンマー産青磁が重要な役割を果たしたことの指摘とその論証。アラビア半島でこれまで実施してきた遺跡調査の報告、とくにジュメイラ遺跡の2001年度調査報告。こうした点が今年度発表論文の成果である。 研究上の問題点を具体的に証明するための資料収集と分析を今年度も行った。イスラーム陶器の基本的釉と形の元となったのはアッバース朝白濁釉陶器碗であるが、その器形の元となった中国白磁を発見するため、中国で白磁に関する研究会に参加し、いくつかの白磁産地で中国人と検討を行った。アッバース朝はラスター彩陶器が発展した時代で、その起源を探る資料の一つがバグダッドから運ばれたと言われるカイラワンの大モスク、ミヒラブに貼られたタイルであり、その写真撮影を行った。創建時の状態は残らない可能性が強い。15世紀のインド洋交易の盲点であったミャンマーの位置づけを、アラビア半島とミャンマー窯跡出土品の比較検討から継続中である。アラビア半島の砦遺跡コールファッカンと隊商都市遺跡ジュメイラの居住空間構造と出土品の研究を継続中である。大英博物館で開催されたアラビア半島の交易に関するシンポジウムに参加し、研究の最先端の現状を把握し、我々の研究の位置づけと国際水準を確認した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 佐々木達夫: "アラビア半島に広がるミャンマー青磁の発見"金沢大学考古学紀要. 26. 1-11 (2002)
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[Publications] Sasaki, Hanae: "Myanmar green ware"Bulletin of Archaeology, the University of Kanazawa. 26. 12-15 (2002)
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[Publications] 佐々木花江: "ペルシア湾北岸遺跡と採集陶磁器"金沢大学考古学紀要. 26. 27-47 (2002)
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[Publications] 佐々木達夫: "アッバース朝白濁釉陶器に与えた中国白磁碗の影響"金沢大学考古学紀要. 26. 64-75 (2002)
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[Publications] 佐々木花江: "緬甸青瓷,其窯跡及在15至16世紀中句印度洋地区的出口貿易"古陶瓷科学技術国際討論会論文集. 5. 589-597 (2002)
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[Publications] 佐々木花江: "ジュメイラ遺跡2002年"第9回ヘレニズム〜イスラーム考古学研究. 9. 85-95 (2002)
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[Publications] 佐々木達夫: "西アジアの陶磁"東洋陶磁史 東洋陶磁学会. 301-309 (2002)
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[Publications] 佐々木達夫: "ルリーヤ砦の構造と出土品"第9回西アジア発掘調査報告会報告集. 55-57 (2002)
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[Publications] 佐々木達夫: "オマーン湾岸のルリーヤ砦"第8回西アジア発掘調査報告会報告集. 92-96 (2002)