2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市再開発における計画と現実-ジェントリフィケーションをめぐる日独比較研究-
Project/Area Number |
12572005
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
神谷 国弘 関西大学, 社会学部, 教授 (20067515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 孝志 名古屋短期大学, 現代教養学科, 講師 (00321018)
中道 實 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (40067690)
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Keywords | ドイツ連邦共和国 / ジェントリフィケーション / インナーシティ / 都市再開発 / 立ち退き / 老朽密集住宅地 / 社会的不平等 / セグリゲーション |
Research Abstract |
本研究は,ドイツにおける老朽密集住宅地区再開発において生起するGentrificationの諸問題を通して,わが国の21世紀に向けての都市再開発のあり方を究明することを目的とする。1980年代の欧米においては,1970年代の住宅郊外化による大都市内部の衰退を経験した。これら多くの大都市が再生の道を模索する中,欧米特にアメリカにおいて,インナーシティの衰退に歯止めをかけ,さらには再活性化せしめる対策の1つとして,Gentrificationすなわち「社会的にマージナルな労働者階層の住む地域を中流階層の住宅使用に転換すること」がクローズアップしてきた。これに対して,Gentrificationが前住者の『立ち退き』を伴い,そこからホームレス問題を出現させたことから,Gentrificationは「弱者切り捨て」になるとの主張が主流を占めてきた。1990年代に入り旧ソ連体制崩壊後,Gentrificationの議論も大きな転換点を迎えている。ドイツにおいてGentrificationが脚光を浴びているのはいかなる意味を持つか。東西分裂後ほぼ40年間に亘り放置されてきたと言ってもよい旧東ドイツ諸都市の住宅地区再開発はいかに行われようとしているか。われわれは「都市再開発の社会学」の立場から,Gentrificationに「メス」を入れることにした。 本年度は,(1)ドイツ都市研究者との研究交流準備,(2)ドイツ都市研究者からの研究資料蒐集,(3)ドイツ都市における都市再開発現場資料蒐集の3点を重点的に実施した。具体的には,Muenchen市都市再開発部長との面談および再開発資料の提供,Koeln大学Blasius,J.博士からKoeln市Nippes地区におけるGentrification質問紙調査データの提供,Koeln市Nippes地区現場視察,Hannover大学におけるセグリゲーション・社会的不平等調査資料蒐集,Berlin市における代表的なGentrification地区であるPrenzlauerberg地区の視察および当該地区の資料収集等々を行った。次年度は,Berlin市Prenzlauerberg地区にブィールドを絞り込み,セグリゲーション・社会的不平等研究を視野に入れながら,当該地区のデータ収集を行う予定である。
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