Research Abstract |
本研究は,ドイツにおける老朽密集住宅地区再開発において生起するGentrificationの諸問題を通して,わが国の21世紀に向けての都市再開発のあり方を究明することを目的とする。 本年度は,ドイツにおける再開発の調査フィールドをBerlin市のPrenzlauerberg地区と定め,当該地区の資料・データを集中的に蒐集した。同地区に居住し,再開発やGentrification問題に詳しいBerlin-Humboldt大学の都市社会学者Hauβemann, H.教授や,同地区のGentrification問題を研究しているHolm, A.助手との研究交流を行い,同地区に関する多数の論文,著書,そして彼らが行った調査データの提供を受けることができた。また,Hauβemann教授の案内で,再開発前の建物内部,再開発工事現場や再開発後の建物内部を視察した。 Prenzlauerberg市区役所において,同地区の都市計画担当者からのヒアリング調査を行い,地区詳細計画(Bebauungsplan),土地利用計画(Flachennutzungsplan)などの基礎資料を入手した。市区役所の委託を受け,同地区の再開発を手がけるTOPOS都市計画研究所を訪れ,調査データ,具体的な再開発計画および再開発の進行状況をまとめた資料の提供を受けた。これらドイツにおいて蒐集した調査データおよび資料から,わが国におけるGentrification問題との比較を行うための分析が進行中である。 一方,わが国においては,次年度行う予定の質問紙調査候補地を絞り込むために,(財)大阪府都市整備推進センターにおいて,大阪府の住宅地再開発の現状についてのヒアリング調査を行い,豊中市,寝屋川市,門真市,堺市などの取り組みについての資料を蒐集した。現在,それぞれの市役所および関係事務所を回り,基礎資料を蒐集中である。日独両国におけるGentrification問題を比較するために,両国での調査は,順調に推移している。
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