2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際金融法制をめぐる日米欧間の法的不整合-その解明と解消を目指して
Project/Area Number |
12572009
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
森下 哲朗 上智大学, 法学部, 助教授 (80317502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 一憲 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00009854)
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Keywords | 国際金融取引 / 証券決済 / 金銭 |
Research Abstract |
本年度は4年間の研究機関の3年目にあたり、前年度までに明らかとなってきた論点について具体的な研究を進めるとともに、幾つかのキーワードを中心とした研究のまとめに向けての準備を開始した。 1.英米における判例の調査調査 シンジケーション、デリバティブ、証券化、M&Aの各取引における近時の英米の重要判例を調査した。これらの判例で問題となっている英米法の原則(fiduciary duty, misrepresentation等)について研究するとともに、日本法においてどのような処理がなされるべきかについて考察した。 2.金銭及び証券の法的地位及びその決済制度についての研究 初年度より行ってきた金銭及び証券の法的地位及び決済制度の研究を継続した。金銭と証券に共通する問題として、口座システムを用いて権利の所在を明らかにする制度に関する法的問題の研究を行った。また、特に証券については、証券振替決済法制についてのドイツ法、ハーグ国際私法会議での条約案等についての研究を進めた。 3.国家債務再編 新しい問題として、国家を債務者とした金融取引との関係での国家債務再編という問題についても研究を行った。 4.研究のまとめに向けて これまでの研究の結果、幾つかのキーワードを軸にした研究のまとめに向けて、文献や調査結果の整理等の下作業を開始した。具体的には、契約の拘束力とfiduciary duty/good faith、情報の提供・アドバイスとfiduciary duty/misrepresentation、conflict of interest、金融資産の取戻と信託、beneficial interestとintermediary risk、金銭と証券と口座システム、SPVとディスクロージャー、リスクの取引、担保法制、国際銀行監督などを考えている。
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