2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12572017
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 耕一 岡山大学, 経済学部, 教授 (00235649)
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Keywords | フランス / 35時間労働 / 自動車産業 / 労使間協定 / ワークシェアリング / 労働時間のフレキシブル化 / トヨタ・フランス / トヨタ生産システム |
Research Abstract |
当研究は二つの研究テーマを結合したものである。一つは、フランスの35時間労働法による自動車産業における労働慣行の変化(ワークシェアリングと労働時間のフレキシブル化)の実態を調査研究することであり、もう一つは、このような労働環境のもとで、2001年に操業を開始したフランス・トヨタによるトヨタ生産システムの適用実態を追跡調査することである。過去2年間の研究実績は以下の通り。 (1)トヨタ・フランスの研究 2000年6月13日および2001年6月にトヨタ・フランスを訪問し、生産準備状況および立ち上がり状態について聞き取り調査を行った。ただし、トヨタ側から、生産立ち上げから3年間は「そっとしてほしい」という要望があり、今のところ詳しい調査は控え、工場側の許す範囲内での説明を受けたにすぎない。他方、地元バロンソイエンヌ市については2001年6月にバロンシエンヌ市長ならびに同市商工会議所に対してトヨタ誘致政策についての聞き取り調査を行った。また、バロンシエンヌ周辺にはルノーの組立2工場およびプジョー・フィアット合弁組立工場があり、労働条件の比較のためにこれらの工場の聞き取り調査を計画し、2001年9月にプジョー・フィアットのスペル・ノール工場およびヴァロンシエンヌ地域金属産業連盟書記長に対して35時間労働法の影響についての聞き取り調査を行った。 (2)フランス自動車メーカーにおける35時間労働の実態調査 2000年6月には35時間労働法の法案作成に寄与したD.タデイ教授(経済社会諮問会議議長)およびG.セット教授(経済分析諮問会議)に対して35時間労働法の意図と法の評価について聞き取り調査をこなった。また同年9月にルノー人事部およびCGTルノー支部に対して、35時間労働実施のための労使間協定に関する聞き取り調査を行った。またプジョーSAについては、2001年2月に本社人事部およびパリ近郊のオルネイ工場工場長に対して35時間労働に関する労使間協定並びに工場における実態について聞き取り調査を行い、同年9月には上述のスペル・ノール工場等に対して同様の聞き取り調査を行った。 以上のように、本研究は調査および資料収集の途中であり全体を発表できる段階に無いが、自動車メーカーにおける35時間労働の実態については調査が進んでいることから、進化経済学会「制度の政治経済学」部会において報告を行い(2001年9月)、また2002年3月の進化経済学会大会においても報告する。
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