Research Abstract |
本年度は,まず,6月に予備調査を実施し,調査対象民族として,ミャンマー連邦に居住する,全135民族の中から,ビルマ族,モン族,シャン族,インダー族の4民族を選び,それぞれの民族が居住する集落を,ヤンゴン郊外,バゴー郊外,タウンジー郊外,インレー湖上にそれぞれ選定するとともに,現地視察に基づき,本調査における室内外の温熱環境や生活用水水質の測定方法を決定した。本調査は,ミャンマーの代表的な季節ごとに3回行うこととし,本年度は雨期調査を8月下旬に,乾期調査を12月下旬にそれぞれ実施した。 本調査では,対象集落の構成や住居特性を実測調査し,住民の生活行動を観察記録した。また,両季節とも,各民族の伝統的住居2住戸を対象とした2昼夜に及ぶ連続的な温熱環境測定と,生活用水の水源である井水,雨水,湖沼水などの水質測定を行った。前者では,温湿度,風向風速,表面温度等を測定し,昼間は日射の有無を除き,住宅内外がほぼ同等の温熱環境となること,椰子の葉等に代わって使用されるようになったトタンの屋根では,強い日射のため室内の放射環境が劣悪になることなどを把握した。また,後者では,濁度や電気伝導度,一般細菌,大腸菌群数等を測定し,浅井戸の場合,表流水の流入により,乾期より雨期で水質が悪化すること,インレー湖では藻類による酸化分解反応が盛んなため,井水などより湖沼水の水質が良好となることなどを示した。 これらの結果をふまえ,本調査の対象集落のほか,特徴的な集落並びに市街地を選定し,合計11地区(各地区約50戸を目標)を対象として,現地協力者の補助によりヒアリング形式による,生活環境評価と住まい方,住意識に関する調査を現在実施している。また,3月下旬に予定している,暑期調査の準備を進めている。
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