Research Abstract |
本年度は2年計画の最終年度であり,昨年度からの継続として,3月28日〜4月9日にかけて,研究者ら9人のチームで暑季実態調査を実施した。調査対象は,雨季・乾季調査と同様に,ビルマ族のPadagy村(2住宅),モン族のTaposan村とHpayaThonezu村の(各1住宅),シャン族のWar Pyar村(2住宅),インダー族のNampan村,Nampan Zeba村,Nampan Zegon村(各1住宅)である。各対象住宅につき,2昼夜に及ぶ連続的な温熱環境測定(屋外の目射量,屋内外の温湿度,放射・表面温度,風向・風速),昼光率測定(屋内外照度),騒音測定(屋外等価騒音)を実施した。また,当該集落・住宅の水利用システムを調査し,水源・貯水容器等の水質(pH,水温,電気伝導率,濁度,塩素イオン,アンモニア性窒素,大腸菌群数,一般細菌数,残留塩素,溶存酸素,浮遊物)を分析するとともに,ミャンマーに固有の水壷(公共用)の冷却効果を水温・表面温度測定により調べた。これらと平行して,伝統的住宅の形式,構造,材料等を類別化し,それぞれの特徴を考察した。これらの結果より,ミャンマーの伝統的住宅の建築的特性,高床式と自然素材を用いた屋根・壁による室内の温熱環境特性を明らかにし,また,伝統的集落・住宅の水利用システムの特性を地域別にまとめ,それらの水質評価も行った。 さらに,10月25日〜11月3日の期間,研究者ら5人のチームで,これまでの調査分析結果の協議と補足調査を行うとともに,今後の研究の展開に向けて,さらに追加すべき調査地域として,ザガイン管区の集落・住宅とヤンゴン市の戸建て住宅・集合住宅を実地調査し,併せて,実物大の伝統的住宅モデルの建設候補地,建築方法,汲みこむ各種改善方法などを現地で検討した。 以上の現地調査後は,主として研究成果報告書をまとめるとともに,各種論文の作成作業に費やした。本研究に関連する論文は,これまで,日本建築学会中国支部研報告集に3編(2001年),日本建築学会大会学術講演梗概集に3編(2002年),空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集に3編(2002年)を口頭発表している。これらに引き続き,日本建築学会と空気調和・衛生工学会への口頭発表論文と原著論文の投稿を進めている。
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