2000 Fiscal Year Annual Research Report
南サハリンにおける日本統治期(1905-1947)の建造物に関する広域実態調査
Project/Area Number |
12572027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角 幸博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40001995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 正明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60001989)
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Keywords | ロシア / サハリン / 樺太 / 日本統治期 / 歴史的建造物 / 社宅 / 官舎 / 銀行建築 |
Research Abstract |
本年度は、南サハリン東部都市を調査対象とし、マカロフ(旧知取)7件、ノウボイ(旧新問)2件、ガステロ(旧内路)4件、ポロナイスク(旧敷香)4件、レオニドヴォ(上敷香)1件、ドリンスク(旧落合)5件、ソコル(旧大谷)3件、ブイコフ(旧内淵)7件、ユジノサハリンスク(旧豊原)1件の計34件の工場・社宅群・軍官舎などについて、写真・VTR撮影、資料収集を行った。また、マカロフの旧王子製紙知取工場および樺太酒精工業株式会社知取工場、ポロナイスクの日本人絹パルプ株式会社敷香工場、同社宅街、ドリンスクの旧王子製紙株式会社落合工場、同社宅街、ポロナイスクの上敷香歩兵第25連隊官舎群、ブイコフの旧内淵低温乾留工場発電所・ポンプ室などの概況を把握した。ドリンスクでは、旧落合工場の煉瓦造第一ボイラー室・エンジン室、RC造煙突(内側に品川耐火煉瓦使用)、RC造回収室のほか、4戸建て甲社宅9棟、8戸建て乙社宅2棟のほか、4戸建て乙社宅20棟以上の遺存を確認した。レオニドヴォの歩兵25連隊官舎は、1940年頃の建設で、2戸建て官舎34棟、兵舎ほか7棟ほどの遺存を確認した。樺太酒精工業(株)知取工場(1940年頃、在マカロフ)は、紙の博物館(東京)所蔵設計図との合致を確認した。ソコルの軍関係官舎は、マンサード屋根アッシュ煉瓦造で、廃屋も含め19棟ほどが整然と残存し、ほかに兵舎跡も2棟残るが、来歴は不明で今後の課題とされた。旧北海道拓殖銀行大泊支店(1929年)の実測調査では、平・立・断面の一般図(1:50)を6枚、矩計図(1:20)、窓詳細図(1:10)の計8枚を作成した。本建物は、コルサコフ市の歴史的建造物として将来博物館への転用がも検討されており、本調査結果が建築デザインの特徴など現況把握のみならず、コルサコフ市の今後の活用計画に対しても有益な情報を提供するものと考えられる。
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