2003 Fiscal Year Annual Research Report
中国の部門別省エネルギーと汚染物質排出量削減の潜在力及び限界費用に関する研究
Project/Area Number |
12572044
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
李 志東 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80272871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 浩吉 日本エネルギー経済研究所, 常務理事 研究統括本部長、計量分析部長
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Keywords | 中国 / 計量経済モデル / エネルギー需要 / エネルギー供給 / 二酸化炭素 / クリーン開発メカニズム / 限界コスト / 日中相互協力 |
Research Abstract |
本年度では、以下の側面から研究を行っている。 (1)基礎資料、データの整備。経済、エネルギー、環境に関する制度、政策など定性的基礎資料整備の他に、約1700変数の時系列及び日中比較分析用の関連データを整備している。 (2)部門別に、鉄鋼業など産業部門、電力部門、自動車を中心とする交通部門、エネルギー源別に石油製品の詳細を含む石油安全保障問題、原子力開発、水力開発及び風力、太陽など新再生可能エネルギーの開発に関する課題研究を展開している。国際的に比較すると、利用効率が60〜80%にすぎず、電力部門など省エネルギーと汚染物質削減の潜在力が大きく、道路部門起因の石油安全保障問題が深刻化するとの結論を得た。 (3)計量経済手法による統合分析。マクロ経済モデル、エネルギー需給モデル、環境モデルからなる統合型計量分析モデル(3E-Model)の構築と問題発見、対策検討を目的とするシミュレーション分析を展開している。中国が2030年までに6%台の経済成長を維持可能で、それに伴い、エネルギー安全保障問題と環境問題が危機的状況に陥る可能性が大きい。総合対策が必要である。 (4)日中相互協力の枠組み設計。日中両国の共通課題を検出し、共通利益をもたらす相互協力の枠組み設計を行っている。とくに、石油安全保障分野、ガス火力、新再生可能エネルギー発電を中心とする電力分野の日中相互協力に焦点を合わせた検討を試みている。 (5)CDMの適用に関する検討。省エネルギー、新エネルギー開発、クリーンコールテクノロジ利用などの分野において、CDMが成り立つかどうか、CO2削減の限界コストがいかほどあるかについて検討を行い、日中両国のCDMによる相互協力に関する考察を試みた。 (6)中国側専門家6人・回を招聘し、研究交流を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Li Zhidong: "An econometric study on China's economy, energy and environment to the year 2030"Energy Policy. (2003)No.31. 1137-1150 (2003)
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[Publications] 李志東, 伊藤浩吉, 沈中元: "中国中長期経済・エネルギー・環境に関する計量経済分析"エネルギー経済. Vol.29 No.2. 65-72 (2003)
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[Publications] 李志東, 伊藤浩吉, 鵜木英裕, 張阿玲: "中国中長期石油需給見通しと安全保障戦略に関する研究"エネルギー経済. Vol.29 No.2. 73-79 (2003)
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[Publications] 李志東: "中国の高度経済成長の陰に潜むエネルギー・環境問題-中長期の問題、対策および日中相互協力の視点を用いて"エネルギー経済. Vol.29 No.3. 1-29 (2003)
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[Publications] 李志東: "中国における原子力発電開発の現状と中長期展望"エネルギー経済. Vol.29 No.3. 95-105 (2003)
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[Publications] Takamitsu Sawa(Ed.): "International Frameworks and Technological Strategies to Prevent Climate Change. (An Econometric Study on China's Long-Term Economy, Energy and Environment)"Springer. 307(183-201) (2003)