2000 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海の海氷へ及ぼすアムール川の影響に関する観測的、数値的研究
Project/Area Number |
12573006
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
立花 義裕 東海大学, 文明研究所, 講師 (10276785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 謙介 北海道大学, 低温研究所, 教授 (00107450)
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Keywords | オホーツク海 / アムール川 / 流量観測 / 水温観測 / 河川流入量 / 海水温度 / 海表面温度 / 最大海水面積 |
Research Abstract |
本研究課題の対象域であるオホーツク海は北半球でもっとも南に位置する結氷する海である。その理由として長年「アムール川の河川水の流入」の影響が信じられてきた。アムール川からのオホーツク海への多量の淡水供給が、非常に軽い低塩分水層を表層に形成させ、この強い成層構造が冬季の大気冷却による鉛直対流を妨げ、容易に結氷点に達しやすい。以上の理由でアムール川が重要な役割を演じていると言われてきた。それを確かめるために、ロシアウラジオストクの気象水文研究所及びハバロフスクの気象水文局へ訪問し、アムール川における、流量及び水温観測の可能性について調査及び予備的な打ち含わせを行った。その結果アムール川下流域では2カ所の流量観測点が存在していたが、現在はロシアの経済状況が悪化しているためにルーチンの流量観測がほとんど行われていないことが判明した。しかしながら、資金提供があればいつでも観測の再開が可能で、既存の気象水文局所有の観測機器を用いた流量や水温などの観測が可能であることがわかった。彼らは河川流量を船舶を用いて観測しており、その運行経費が枯渇しているために、観測が行われていない。運行経費さえあればいつでも観測可能であることの合意を得、本年度の観測委託契約結んだ。また、1999年度までの流量データの提供を受けることができた。そのデータを含む過去のアムール川の流量データとオホーツク海の海氷面積の関係を予備的に調べた。その結果驚くべき事実が発見された。最大海氷面積とアムール川の流量との経年の変動の関係が、冒頭で述べた理論とは全く正反対であった。つまり河川流量が多い場合、それに引き続く冬季の海氷量は逆に少なくなる傾向にあることが分かった。さらに河川流量とオホーツク海夏季の海表面温度との相関を調べたところ、河川流入量の多い年はオホーツク海の北部の夏季の海水温度が高温になる傾向にあることが分かった
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshihiro Tachibana: "Does the Fresh Water Supply from the Amur River Flowing into the Sea of Okhotsk Affect Sea lce Formation?"Journal of the Meteorogical Society of Japan. 79/1. 123-129 (2001)
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[Publications] 立花義裕: "オホーツク海の海氷、アムール川淡水流入と10年変動"月刊 海洋 号外. 24. 162-166 (2001)
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[Publications] 立花義裕: "アムール川研究紀行"文明. 83. 1-4 (2000)