2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12573011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯崎 行雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90144914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 雅夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90262849)
川幡 穂高 地質調査所, 海洋地質部, 研究員
松尾 基之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10167645)
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Keywords | 大量絶滅 / P-T境界 / 南中国 / ボーリング / 火山灰 / プルーム / 超大陸 / 超酸欠事件 |
Research Abstract |
平成12年度は、史上最大規模の生物大量絶滅がおきた古生代・中生代境界事件の原因究明をめざす本研究計画の初年度にあたる。研究計画代表者の磯崎および松尾は、本研究開始以前に予察的に南中国の各地から採取した岩石・地層試料の室内研究を開始した。また磯崎は大学院生1名、中国側の共同研究者である姚建新教授およびその研究補助員1名とともに、南中国の3地域(陝西省南部漢中地域、四川省南部攀西地域および広西自治区来賓地域)を訪問し、各地域において野外調査を行った。これらの地域には、PT境界層のみならず、異常火山活動の痕跡を残すペルム紀の地層あるいは火成岩が好ましい状況で露出していた。現地では詳細な地層記載と地表での岩石試料採取を行い、またプルーム起源岩の探索を試みた。さらに比較研究のため九州や中部地方に産する相当層についても詳しい野外調査と室内研究をおこなった。その結果、これまでに以下の事が判明した。 1)四川省、陝西省および広西自治区のいずれの地域においても、PT境界層準をはじめとして上部ペルム系中に明瞭な凝灰岩層が約30層準から見い出され、とくに生物の大量絶滅の層準に顕著に挟まれる。 2)それらの凝灰岩の分布域の広さ、および均一の厚さから判断して、それをもたらした火山活動がかなり大規模なものであったと推定される。 3)この凝灰岩層の延長は、西南日本の付加体中の石灰岩にも認められ、これらの火山活動の影響はグローバルな規模で及んだと推定される。 4)ほぼ同時期に活動した深成岩の性質から判断して、これらの火山活動の起源となったマグマは、おそらくアルカリ岩系の性質をもっていたと考えられる。
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[Publications] 磯崎行雄,松田哲夫,酒井治孝,川幡穂高,西弘嗣,高野雅夫 他: "南中国四川省におけるP-T境界学術ボーリング:「プルームの冬」仮説の検証に向けて."月刊地球号外「21世紀の古生物学的展望」. ・29. 149-154 (2000)
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[Publications] 磯崎行雄: "大量絶滅:史上最大の生物危機の謎を探る"生命の科学「遺伝」別冊. ・12. 163-173 (2000)
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[Publications] 磯崎行雄: "日本列島の起源,進化,そして未来-大陸成長の基本パタンを解読する-"科学. 70. 133-145 (2000)
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[Publications] 太田彩乃,磯崎行雄: "古海山頂部の石灰岩に記録されたP-T境界直前の超海洋環境-宮崎県高千穂町上村のペルム系岩戸層および三田井層の層序-"月刊地球号外「21世紀の古生物学の展望」. ・29. 155-159 (2000)
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[Publications] 太田彩乃,磯崎行雄,勘粮亀齢: "宮崎県高千穂町上村のペルム系岩戸層および三田井層の層序:海山頂部相石灰岩中に確認された茅口階,呉家坪階および長興階"地質学雑誌. 106. 853-864 (2000)
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[Publications] Okamoto,K.,Maruyama,S.and Isozaki,Y.: "Accretionary complex origin of the high-P/T Sambagawa metamorphic rocks in central Shikoku, Japan"Jour.Geol.Soc.Japan. 106. 70-86 (2000)
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[Publications] 磯崎行雄 他: "生命と地球の歴史,三愛新書No.166"三愛会,東京. (2000)
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[Publications] 磯崎行雄 他: "地球ダイナミクスの事典"朝倉書店(印刷中). (2001)