2001 Fiscal Year Annual Research Report
台湾集集地震の震源域付近の地盤および構造物の動的挙動に関する実証的調査研究
Project/Area Number |
12574006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川瀬 博 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30311856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊明 大崎総合研究所, 主席研究員
林 康裕 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70324704)
清家 規 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (90243914)
佐藤 智美 大崎総合研究所, 主任研究員
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Keywords | サイト特性 / 強震動 / 微動 / アレー観測 / 台湾集集地震 / 動的応答 / 卓越振動数 / 盆地構造 |
Research Abstract |
本研究は、近代的な強震観測機器によって貴重な記録が得られた台湾集集地震を対象に、内陸性の大地震による震源域での構造物の崩壊メカニズムを多角的に解明するため、地震動の特性と構造物の特性を現地での振動計測によって実証的に把握し、わが国の兵庫県南部地震の際の研究結果と比較することによって、その地震動特性と構造物特性の違いがもたらす崩壊メカニズムの差異について検討しようとする調査研究である。このため、まず被災地の強震動特性をその地盤構造調査結果に基づき分析し、特に被害の甚大であった被害建物集中地域の強震動を観測強震動と推定地盤構造から推定することを考える。昨年度は2週間にわたり現地調査に赴き、震源域の広い領域でアレー微動観測および単点微動観測を実施し、台中盆地全体の構造を明らかにするための情報を収集した。また台湾中央気象台の公開した強震観測データに基づき強震動の特性と構造物の非線形動的挙動との関係について分析した。その結果、兵庫県南部地震と比べ2地点以外の記録はその構造物破壊能は相対的に低く、日本と同等レベルの靭性が与えられていればあれほどの被害はでなかったものと推測された。また構造物についても微動計測を行い、その振動特性を把握した。今年度はこれら昨年度収集したデータの分析を行うとともに、台中盆地と同様に深い構造による大きな地震動増幅が予測され、万一大地震が発生した場合には台中市とは比較にならないほど甚大な被害が出るものと危倶される台北盆地にターゲットを移し、台北盆地を東西に横切る側線上の5地点にアレーを展開し、微動計測を実施した。その結果、やはり西側に行くほど深い盆地構造をしていることが示唆された。今回の観測結果により従来400mまでしか把握されていなかった台北盆地のより深い構造が明らかになるものと考えられる。これらの研究と平行して震源の複雑な破壊過程を把握する震源インバージョンも実施され、北部で大きなすべりがあったことがわかった。このように、本研究により震源特性とサイト特性を組み合わせて震源域での強震動分布を再現し、それをもとに被害分布を再現するための実証データが整ったといえる。
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[Publications] Satoh, T., H.Kawase, T.Iwata, S.Higashi, 他3名: "S-wave velocity structure of the Taichung basin, Taiwan estimated from array and single-station records of microtremors"Bulletin of Seismological Society of America. Vol.91, No.5. 1-16 (2002)
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[Publications] 包 那仁満都拉, 川瀬 博, 林 康裕: "台湾・台中地域の建築物の振動特性"日本建築学会九州支部研究報告. 第41号-1. 1-4 (2002)