2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国東北地域の寒冷地住宅・住様式の調査研究-日中北方住文化・住宅計画理論比較検証
Project/Area Number |
12574009
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 孝博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10113599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 満 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10091513)
西村 伸也 新潟大学, 工学部, 教授 (50180641)
月舘 敏栄 八戸工業大学, 工学部, 教授 (50124897)
池上 重康 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30232169)
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Keywords | 中国東北部 / 寒冷地 / 北方型住様式 / かん(かん) / 暖房方式 / 集合住宅 / 住宅計画 / 履き替え様式 |
Research Abstract |
本年は中国大連市において2度の住宅実態調査(住宅・住様式予備調査6月、住宅・住様式本調査12月)を行い、以下の内容の調査研究成果が得られた。 (1)大連市郊外の金州区および旅順市郊外において、中国東北地域の典型的な農村戸建て住宅を計10戸ほど選定し、住宅の間取り・敷地図面実測、住まい方記録、居住者ヒヤリング等の住宅・住様式実態調査を実施した。これにより、伝統的な中国東北部の住まい方の実態、および近代住居における伝統的住様式の継承・変質の状況等、地域生活と住様式の意味、伝統住居と近代住居の関係を考えるうえで貴重な資料が得られた。 (2)中国東北地域に典型的に見られる暖房方式の「かん(かん)」について、その形態及び使われ方を詳細に調査した。その結果「かん」は、伝統住居のみならず近代住居にも継承されていること、ただしその場合にはさまざまな住宅・設備・生活状況の変化要因により多くのヴァリエーションを生じていること、その一方でまったく「かん」を廃して別の暖房方式と就寝形態を採用している住宅も多いこと、ただしその場合でも「かん」のなごりをどこかに止めている家が少なくないことなどが明らかになった。 (3)大連市内において、都市住宅の典型である中高層集合住宅を対象に、敷地実測を除いて戸建ての場合とおおむね同様の住宅・住まい方実態調査を実施した。対象住戸数は約20戸。これにより、集合住宅独特の住まい方が見られること、特に上下足の履き替え様式に新しい傾向が生じていること、また戸建て住宅のように「かん」はないが、その代わり大型のベッドが何らかの意味で「かん」のもっていた住様式上の意味を継承している例が少なくないこと、など住様式研究にとって貴重な発見があった。 (4)以上の調査を通じて中国側研究者との研究討論が複数回もたれ、日本側・中国側共通の研究認識が得られたこと、さらに今後の研究課題が整理されるなど、大きな成果が得られた。
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