2001 Fiscal Year Annual Research Report
西オーストラリア乾燥地に生育する樹木の電気接地抵抗の調査・研究
Project/Area Number |
12574021
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山浦 逸雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70191202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 興一 信州大学, 繊維学部, 教授 (10260499)
|
Keywords | 樹木接地抵抗 / 西オーストラリア / 乾燥地 / ハワイ島 / 溶岩大地 / 複素等価半径 / ベクトル軌跡 / ツアート |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き、西オーストラリア内陸部レオノラ近郊のスタートメドー牧場において樹木接地抵抗の測定を行うとともに、測定樹種を増やした。また、比較のために同じ西オーストラリア西海岸ツーロックスにおいて、新たにツアート、Eucalyptus gomphocephalaの測定を開始した。さらに、溶岩大地との比較のために、ハワイ島においても継続測定を行うとともに、今後の測定対象樹種について検討を行った。 今年度新規に、スタートメドー、ハワイ島において、新たにインピーダンスメータによる位相測定を導入し、樹木の接地抵抗を複素インピーダンスの形で測定した。このインピーダンスの電気的等価回路を、1次近似として抵抗Rと容量Cの並列回路で考えた。容量の成分としては、根の細胞組織における壁や膜によるものが関与しており、根の活性レベルの指標になると考えられ、大変重要なものである。樹木の接地抵抗を単にインピーダンスの絶対値(従来の接地抵抗がこの扱い)で捕らえると、そのうち容量成分がどのくらい占めるかが分からない。これまでは、樹木接地抵抗の大きさを、円板電極の半径に換算した等価半径で評価し、さらにそれが実際の樹木半径に対しどのくらいの比率になっているかを調査し、根の生長状態の指標としていた。しかし、根の生きているという活性に関係する容量成分もまた等価半径に反映するので、この量が明に分かるような等価半径の定義の必要性が生じ、新たに複素等価半径を定義した。複素等価半径をベクトル図で表せば、RC各成分に関係する量を分離して可視化することができる。さらに、時間をパラメータとしてベクトル軌跡を描けば、樹木の生長とともに根の状態がどのように変化するか複素平面上で観察できることが分かった。このように、今後のデータ処理、結果の解釈や理解の上で重要な分析手法を開発したことは、測定結果とともに今年度の大きな成果である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 山浦逸雄: "人と植物の新世紀【後編】〜"電気で植物を測るという試み"〜"SAWS. Vol.13. 2-5 (2001)
-
[Publications] 福馬 均, 田中京子, 山浦逸雄: "樹木の接地抵抗測定における幹電極配置法の検討"第40回計測自動制御学会学術講演会予稿集. CD-ROM, 102A-2. 1-2 (2001)
-
[Publications] 福馬 均, 田中京子, 山浦逸雄: "樹木の接地抵抗測定における幹電極配置に関する検討"平成13年電気学会 電子・情報システム部門大会講演論文集. Vol.1. 405-411 (2001)
-
[Publications] 山浦逸雄, 矢嶋征雄, 田中京子, 高橋伸英, 山田興一, 福馬 均: "樹木の根の接地抵抗評価法"平成13年電気学会 電子・情報システム部門大会講演論文集. Vol.1. 413-414 (2001)
-
[Publications] I.Yamaura, K.Tanaka, M.Yajima, N.Takahashi, K.Yamada: "An Estimation Method of Ground Resistance of Trees Growing in Different Lands"Proc. of the 19^<th> IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference. (予定). (2002)